メリンジョ・レシピブック
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メリンジョとは?インドネシアを原産とする裸⼦植物メリンジョ(学名︓グネツム・グネモン, Gnetum gnemon)は、インドネシアにおいて⻑い歴史をもつ熱帯植物です。ソテツやイチョウなどと同じ、雌雄異株の裸⼦植物に分類される樹⽊です。裸⼦植物は通常⾵媒ですが、メリンジョは⾍媒であり、裸⼦植物は仮導管、被⼦植物は導管を持つのに対して、メリンジョは導管を持っています。このように、メリンジョは裸⼦植物ですが、被⼦植物とをつなぐ珍しい中間的存在と考えられています。円錐型の樹⽊の⼤きさは5 mほどですが、中には20 m近くまで成⻑するものもあります。葉は幅3 cm、⻑さ10 cmの濃い緑⾊で⼤きく対⽣し、実は⻑さ2 cmの⻑楕円形でコショウのように房状につき、実の中には⼤きな種が1つ⼊っています1)。実が熟し始めると⾚や⻩⾊、オレンジ⾊などの⾊鮮やかな姿へと変化します(図1)。 『⽣命の樹』 ダヤック⼈が伝えてきた昔話の中で、メリンジョは『⽣命の樹』とされています。インドネシアの⼈々は昔から家を建てる時には、必ずメリンジョの⽊を庭先に植えるという慣わしがあるそうです。乾燥した⼟でもよく育つため、農場での栽培も広く⾏われており、メリンジョの実や種、葉や花は⼀般的な野菜として流通しています。 インドネシアにおいて、メリンジョの実や種には滋養の働きがあると信じられており、どの家庭にも必ず置いてあるメリンジョの種をつぶして作ったチップス「ウンピン」(図2)は⼦どもから⼤⼈まで広く親しまれています。お腹を満たすだけでなく便秘の解消にも良いといわれており、家庭薬として重宝されています。どんぐりほどの⼤きさの種は炭⽔化物やたんぱく質などの栄養価が⾼く、ポリフェノールの⼀種であるレスベラトロールを多く含んでおり1)、近年その効果が科学的に明らかになってきています。図1. メリンジョの実 図2. メリンジョのチップス 「ウンピン」 3

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