ゴラ(マンドレイク)は、錬金術・魔術に用いられる、人型の根を持った不気味な植物として知名度が高い。実際には、根にアルカロイド成分を含む毒性の強い植物で、幻覚・幻聴をともなう麻薬効果がある。呉秀三が説明しているように、西洋では一時期、麻酔薬として用いられていたが、その毒性の強さから、やがて廃れていった。次に、華岡青洲が調合に用いた「通仙散」に関する解説の一部を引用する。先生ノ麻酔剤即チ漢医方ニ所謂麻沸散ハ通仙散ト称ヘ。其成分タルモノハ曼陀羅華八分草烏頭二分白芷二分当帰二分川芎二分(南星炒一分)ニシテ之ヲ細カニ挫キ、熱湯ニ投ジ一二沸シテ後数多度撹拌シ、滓ヲ去リ、之ヲ温キ内ニ服スレバ、一二時(即チ今ノ二乃至四時)ニシテ其効ヲ顕ハシ、瞑眩昏暈シテ人事ヲ弁ヘザルニ至リ随意ニ手術ヲ施スベキモノナリシト云フ。曼陀羅華ニハ凡三種アリ。Datura alba, Nees. ハ欧羅巴・亜細亜・台湾等ニ産シ。 Datura stamonium ハ欧羅巴及ビ本邦ニ産シ。Datura tatura,L. ハ本邦ノ原野ニ自生ス。此三種ノ植物ハ其形状性質トモ大同小異ニシテ。其葉中成分ハ主トシテひおすちあみんニシテ、少量ノあとろぴんヲモ包含シ。種子ノ成分モ之ト同様ナリ。華岡青洲が開発した全身麻酔薬「通仙散」の主成分は、曼陀羅華である。曼荼羅華(マンダラゲ)、すなわちナス科のチョウセンアサガオは、インドを中心とした熱帯アジア地域を原産とし、江戸前期に日本に渡ってきた帰化植物である。摂取すると意識障害を起こすため、全身麻酔薬の原料として用いられた。服用の量によっては錯覚、妄想、精神錯乱を惹き起こし、多く摂取すれば死に至る。ハイチでは、ブードゥー教社会のルールに背いた者への一種の罰則として、生ける屍「ゾンビ」を作ることがある((文學藝術 第47号(2025)
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