文學藝術
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(“No, those aren’t songs. They’re recitations.”)と言い返す。原作よりも映像アダプテーションが作品との最初の出会いとなることは往々にしてあることだが、1964年に公開されたミュージカル映画『メリー・ポピンズ』を先に観た人も少なくないだろう。『レ・ミゼラブル』、『オペラ座の怪人』、『キャッツ』などを手がけた名プロデューサー、キャメロン・マッキントッシュ(Sir Cameron Anthony Mackintosh 1946-)も、ジュリー・アンドリュース(Julie Elizabeth Andrews 1935-)演じる魅力的なナニーに恋し、映画のクレジットを見て原作を知った一人である。その後、彼は1993年、93歳のトラヴァースに初めて対面し、舞台化の権利を得て、更に数年かけて映画で使われたシャーマン兄弟 (Robert Bernard Sherman 1925-2012, Richard M. Sherman 1928-2024)の楽曲の使用権をディズニーから得ることに成功した。「お砂糖ひとさじで」(“A Spoonful of Sugar”)、「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」(“Supercalifragilisticexpialidocious”)、「2ペンスを鳩に」(“Feed the Birds: Tuppence a Bag”) 、そして「チム・チム・チェリー」(“Chim Chim Cher-ee”)など、多くの人が耳にしたことのあるメロディーなしで舞台化することは不可能だった4。2004年、ウエスト・エンドでの『メリー・ポピンズ』上演は「世紀のプロジェクト」、「ミュージカル界最大の話題」だった5。原作が先であろうと、ミュージカルが先であろうと、トラヴァースの『メアリー・ポピンズ』を手にしたとき、そこには歌が溢れていることに気づくだろう。彼女は幼少期から妖精物語(Fairy Tales)や、神話、伝説に親しみ、そこで得たものは様々な形で彼女の作品に反映されている。ここではナースリー・ライム(Nursery Rhymes、伝承童謡とも)がどのように使われているか、このシリーズの第一作目『風にのってきたメアリー・ポピンズ』(Mary Poppins, 1934)を中心に考える6。1.「子ども部屋に払い下げられた」ナースリー・ライムの復権ナースリー・ライムとは、元々は口承文芸として伝えられ、そもそも子どもだけのものではなかった。フィリップ・アリエスが『〈子供〉の誕生』で(2)特集テーマ「歌」・メアリー・ポピンズは歌わない?

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