特集テーマ「歌」日々と歌々福嶋 伸洋八月一日夜、地元で参議院選挙を振り返る小さな集会に参加。話題の中心は、これまで投票に行っていなかった層が差別と分断に靡いたこと。同じ時間帯に新宿で開かれていた「No Hate」や「Stand Against Racism」というプラカードが掲げられる街頭集会には行けなかったため、SNSで複数の投稿をチェックする。「わたしをみなさんのお母さんにしてください」という、某候補の演説の意味不明な一節をサンプリングして曲を作った女性ラッパーがパフォーマンスしていた。日本が歴史の岐路に立たされているいま、音楽に携わる多くの人が声を挙げてもいいと思えるけれど、そうはならない。「音楽に政治を持ち込むな」という使い古された決まり文句が、反動の側から繰りかえされるだけ。二ヶ月ばかり前には、夫婦別姓の問題を歌に入れた歌手が同じように批判を浴びていた。声を挙げるべきときに挙げない歌に歌としての意味はあるのかと、僭越ながら思う。消費税減税を公約として強く訴えていたはずなのに、選挙が終われば「すぐにはむずかしい」と言い出す偽野党の党首たちもいる。予想通りに。誑かす虚言も騙る甘言も選挙のあとは風に散るまま 筆者(11)文學藝術 第47号(2025)
元のページ ../index.html#146