風の音電車の音に紛らはし遠き夜空に相混じりつつ 宮柊二八月八日午後、東京写真美術館の企画展「ヒロシマ1945」に。あの日あのときあの地にいて、カメラのシャッターを切った人たちの勇気を思う。キノコ雲、焦土となった市街地、遺体、原爆症患者。救援のため入市する人びと。「効果」を視察に来た米軍関係者。あらゆる暴力は非人道的だが、原爆の非人道性は筆舌に尽くしがたい。新聞社にフォトグラファーとして勤める友人にも勧めるつもりで「すごくよかったよ」とメッセージを送ったら、主催者の側だった。帰宅すると、アルンダティ・ロイ『至上の幸福をつかさどる家』の書評を寄稿した「週刊読書人」の掲載紙が家に届いている。自分がこんな文章で結んでいたのは、偶然でもない。「唯一の被爆国であるわたしたちの国には、戦後八十年を迎えて、「核武装が最も安上がりであり、最も安全を強化する策」という言葉を気軽に漏らす政治家も出てきたという。過去のいくつもの失敗や悲劇を学び、尊ぶ人がどれだけ多くても、それを学ばず、あなどる人の数の方が上回れば、惨劇は簡単に繰りかえされるのだろう。それでも、わたしたちは過去の過ちを、他国の悲劇を、ひとつひとつの感情の襞にまで降りて、学ばずにはいられない」。正確には「唯一の戦争被爆国」としなければならなかったことに、広島での石破首相の挨拶などで気付いた。みずからを滅ぼすに足る火の種を抱えて回る地球の孤独 筆者(16)特集テーマ「歌」・日々と歌々
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