八月十三日午前中、松濤美術館の安藤照展へ。東京美術学校で学んだ彫刻家。渋谷駅前にあった初代のハチ公像の作家だが、その初代像は戦争末期に、金属供出のために残っていない。安藤自身も一九四五年五月の山の手空襲で命を落とした。いま渋谷駅前に立っているのは、息子の安藤士(たけし)が、初代を模して作り直した二代目であるという。渋谷のハチ公像は、日本でもっとも有名な彫刻作品のひとつだろうが、作者や原作者よりも作品のほうが愛されているというのは芸術家にとってはこの上ない幸福なのかもしれない。八月の朝の光の柔らかさ薄紫の花穂を包む 筆者八月十四日とくに予定がなく、家でゆっくりというかだらだら過ごす。午後には読みかけで真ん中あたりに栞が挟んであった歌集を五、六冊読み終える。読み差しの歌集五冊を読み終えるただそれだけの緩やかな午後 筆者八月十五日午前中、近くのホームセンターに木材を買いに行く。午後、暇を持て余してパウンドケーキを焼く。終戦の日。石破首相が戦没者追悼式で挨拶に「反省」の一語を入れたことが話題になる。ただし、「侵略の反省」という意味合いは薄い。千鳥ヶ淵の戦没者墓苑は大学から近いが行ったことがないのでいずれ訪ねたい。(19)文學藝術 第47号(2025)
元のページ ../index.html#138