特集テーマ「歌」宝塚歌劇団と文芸学部の今後鈴木 国男2024年11月30日、東京経済大学で開かれた日本演劇学会秋の研究集会において、井上理惠氏、川崎賢子氏とともに、「宝塚歌劇の公共性と課題」というパネルセッションを行なった。そこで司会者として述べた内容を再構成することから、この論考を始めたい。昨今、宝塚歌劇団を巡りマスコミ報道が過熱したという事態があった。事の真偽については測りかねる部分もあるが、まずその報道の在り方には大いに疑問を感じずにはいられない。とはいえ、一連の出来事が、歌劇団、ひいては演劇全体に投げかけた問題も看過できるものではないと思われる。まず、簡単に事実関係を整理しておく。この時期、宝塚に限らず、芸能関係の事件が相次いで明るみに出て、ジャニーズ・カブキ・タカラヅカの頭文字を取ってJKTなる符丁が流布していたが、少なくとも宝塚歌劇団においては、永年にわたり広範囲にわたった悪質な性加害や自殺幇助など、刑事罰に問われるべき犯罪は立証されていないということは、確認しておきたい。マスコミによる歌劇団を巡るスキャンダラスな報道は、過去にも散見されたが、このたびの事態のきっかけになった記事は、2022年に遡る。これに関しては、当事者である原田諒氏が、『文芸春秋』2023年6月号に「宝塚「性加害」の真相」という手記を発表している。以下はその要約である。原田氏が学生時代から世話をしていた演出助手のAが、2021年11月になって法事を理由に実家に帰ってから戻らなくなり、19日に退職希望のメールを送って来た。そして、「原田からハラスメント行為を受けた」という訴え(25)文學藝術 第47号(2025)
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