があった。そして、そのことを『週刊文春』の記事として公表することが示唆された。原田氏は当人との面会を希望したが拒否され、文面による謝罪を求められたので、7枚の反省文を綴り、歌劇団の総務部長に送った。12月2日、歌劇団理事長から、懲戒委員会が開かれる旨を伝えられた。その後、理事長や総務部長に促される形で、12月9日付で歌劇団から阪急電鉄創遊事業本部へ移動し、26日に退団した。そうすることにより、公表は見合わせるとの合意があったとされるが、27日に『文春オンライン』にて「性加害に及んだ演出家」として報道され、『週刊文春』の記事もそれに続いた。原田氏は歌劇団の扱いを不満とし、復籍を求めて訴訟を起こした。(要約終わり)これは、当事者の一方による主張であり、真相は未だに確定されていない。しかしながら、このような事態が生じた場合、歌劇団としては第三者によるきちんとした調査の上で必要ならば適正な処罰を行なうべきところ、内々に揉み消すことにより公表を防ごうとし、にも関わらずマスコミに報道され、かつ当事者のいずれの側にも満足のいく結果を得られていないという事態を招いたわけである。すなわち歌劇団あるいは親会社の隠蔽体質、もう少し穏やかな言い方をするとしても、危機管理の拙さが明らかになったと言えるだろう。このような出来事があった後も、反省に基づく検証や対応の適正化を図らなかったために、次なる悲劇を招いたと言わざるを得ない。実際、2023年1月になると、再び『週刊文春』に、宙組におけるいじめの実態を報じる記事が掲載された。その後も宙組を巡る記事は何度も掲載され、その中で、上級生によってヘアアイロンを額に押し付けられ火傷を負ったとされる娘役のことが記された。実名は伏せられていたものの、それが誰だかは容易に特定されるような内容であった。これが、事実であったか、また「いじめ」とすべきものであったかは、ただちに断定はできなかったかもしれないが、この時も歌劇団は慎重な調査をすると同時に、それに関わったと思われる生徒に適切な保護をすべきであっ(26)特集テーマ「歌」・宝塚歌劇団と文芸学部の今後
元のページ ../index.html#131