劇団員に様々な負担を強いるような運営を続けてきたことがかかる事態を引き起こしたものであって、全ての責任が劇団にあることを認め、かつ、被災者に対する安全配慮義務違反があったことを認めました。(引用終わり)尊い人命が失われた以上、その背景にある事実を率直に認め、厳しく反省し、再発防止を図ることは当然であろう。しかし、それが一つの不幸な事例に留まるものではなく、組織的かつ恒常的に行なわれてきた違法と怠慢の結果であるというのは、一ファンとしても衝撃を受けずにはいられない。先に述べたように、我々もまた観客として歌劇を形作る一員である以上、間接的に加担していなかったと言い切ることができるだろうか。素晴らしいものとして愛してきた舞台が、実はそのような数々の過ちの上に作られてきたのだとしたら、それは不正や犠牲によってもたらされた果実を味わい、かつそれを美談として語ってきたという共犯関係にあるのではないか。また、この文書には、別紙2として「再発防止向けた取組(劇団の改革)について」という文書が付されている。これを要約すると、年間9興行から8興行体制へ変更し、1週間あたりの公演数を10回から9回に変更することにより、休日を確保し出演者やスタッフの負担を軽減すること、稽古スケジュールの見直しと時間管理の強化と劇団員の心身の健康管理体制の強化、現場の問題を把握し、意見を吸い上げる仕組みの強化、内部監査体制の強化などが挙げられている。また、劇団員及び関係者の意識改革・行動変容を促す取り組みとして、過去から伝承されてきた慣習・しきたり・指導方法の見直し、出演者・スタッフの役割分担の見直し、人材育成の強化を謳っている。さらに、劇団の改革を実効性の高いものとするためのサポート体制の整備として、有識者によるアドバイザリーボードと社長直轄のリスクマネージメント推進室を設置するとしている。こういった不祥事を受けての改善案としては、ごく当たり前の内容のようにも思われるが、宝塚歌劇の歴史と実態に照らしてみた時、その意味するところは曖昧で抽象的なものではないかという疑問も湧いてくる。それについての検討に入る前に、組織自体の大きな改変にも触れておかなければならな(33)文學藝術 第47号(2025)
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