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文芸学部取り組み・プロジェクト紹介

更新日:2016年04月10日

日本語・日本文学専修

受験生へのメッセージ(深津 謙一郎)

 

自己紹介


高校を卒業するまで読書とは無縁の生活を送っていましたが、大学生になって初めて、小説を読み、批評し、意見交換することの面白さに目覚めました。以来、本や人とのさまざまな、そして幸運な出会いを経て、いまに至ります。日本近代文学を中心に、国語科教育に関わる授業も担当しています。

 

専門分野


日本近代文学

 

研究キーワード

戦後文学、村上春樹、原爆文学

 

最近のおもな研究業績

―共著書―

  • 『日本学研究叢書Frontier series第10巻』外語教学と研究出版社(北京) 2014年
  • 『『坊っちゃん』事典』勉誠出版 2014年
  • 『日本文学からの批評理論 亡霊・想起・記憶』笠間書院 2014年

 

―研究論文―

  • 「村上春樹「沈黙」論―内なる〈他者〉への想像力-」『文芸研究』126号 2015年
  • 「文学研究における語りと視点―芥川龍之介「トロッコ」を中心に―」『表現研究』100号 2014年
  • 「<招かれざる客>の正体――三島由紀夫「橋づくし」の「アイロニイ」」『文學藝術』38号 2014年

 

受験生の皆さんへ

文学研究には1つの正解がありません。ものの見方の数だけ正解がある、そうした複数の正解を許容するのが文学研究です。
たとえば、「象の絵を描いてください」と言われて、皆さんはどのような象を描くでしょうか。多くの人は、横から見た象の姿を描くのではないかと思います。もちろんそれで正解です。では、正面から見た象の姿を描いた人がいたとして、それは間違いでしょうか。そんなことはありません。それも正解です。要するに、視点の置き方の問題で、視点を置く場所が違えば、見える象の姿も違ってきます。
このように、ものの見方を変えることで違う世界のありようを垣間見る、そうした楽しさを味わわせてくれるのが、文学研究です。違う世界との出会いは、また、今の自分にとって当たり前であることがはたして本当にそうなのか? といった、自分自身への内省も促すでしょう。
文学研究はさまざまな「発見」の連続です。この醍醐味をぜひ、教室で皆さんと共有したいと思います。

 

おもな担当授業

◎基礎ゼミナール・文芸ゼミナール(1年次)
原則として前後期同一クラスで行います。前期の基礎ゼミナールでは、まず、「大学生になる」ための基本的な知識とスキルを身につけてもらいます。そのうえで、後期の文芸ゼミナールでは、2年次以降の本格的な専門の学びに向けた導入を行います。

―受講生による授業紹介―
文芸学部1年生必修の通年授業です。前半の基礎ゼミナールでは、どのクラスも共通してレポートの書き方や発表の基礎を学びます。グループワークが中心となっていて、神保町周辺や将来の職業についての発表を行います。後半は各クラスの先生によって取り扱うテーマが異なります。深津先生のクラスでは、小学生から高校生の間に教科書に載っていた名作を、学校で習ったものとは異なった観点から読むということをします。1つの解釈に執着するのではなく、本文中だけに焦点を当てて分析を行うテクスト論、作者自身に焦点を当てて分析を行う作者論の両方から分析を行うことができます。取り扱う作品は「走れメロス」や「ごんぎつね」「羅生門」など、誰もが一度は読んだことがあるものばかりなので、読書をあまりしない…という学生でも問題ありません。また、これらを実際にレポートや発表にまとめることになるので、前期授業の応用にもなります。このように、1年間通してレポートや発表の基礎、また文学研究をするうえでの基礎を学ぶことのできる有意義な授業です。(T・Kさん)

 

◎卒業論文ゼミナール(4年次)
深津ゼミの卒業論文の最低ノルマは400字詰め原稿用紙換算で80枚です。例年半数以上の学生が100枚以上の論文を書き、なかには200枚以上の論文を完成させる学生もいます。もちろん、それだけの文章を書き切るための指導も段階を踏んで行います。

―受講生による授業紹介―
深津ゼミは、主に日本近代・現代文学を扱っているゼミです。ゼミの魅力は何と言っても、学生の好きなことを自由に研究させてくれるという点です。少人数なので先生との距離が近く、学生一人ひとりに手厚いフォローをしてくださいます。研究の過程で壁にぶつかってしまった時などは先生に相談に行くと、適切なフィードバックや細やかな添削を行ってくださるので、ゼミでは卒論に前向きに取り組む雰囲気が整っています。
定期的に研究を発表する場では、他のゼミ生たちの発表を聞くことができるので毎回大きな刺激を受け、発表の中から新しい発見があるため視野が広がります。卒業論文は4年間の学習の集大成です。自分の興味のある分野に集中して取り組むことができるので、作者や作品世界をより深く学ぶことができます。
またゼミでは、毎年夏休みに1泊2日の合宿を行います。勉強だけではなく海やバーベキュー、夜はゼミ生同士で語りあったりと、合宿を通して見たことのない一面を発見することができ、ゼミ生同士の絆が深まりました。(R・Sさん)

 

参考 深津ゼミ卒業生 卒業論文題目の一例

  • 夏目漱石『三四郎』論―空無化される言葉―
  • 夏目漱石『門』論―宗助と御米の乖離―
  • 夏目漱石『こころ』における静の存在意義
  • 谷崎潤一郎『春琴抄』における同化と主従と視覚の権力
  • 太宰治『女生徒』におけるジェンダー論
  • 三島由紀夫『仮面の告白』論―告白に隠された異性愛―
  • 歪んだ娘に救いを求める男たち―「眠れる美女」と「片腕」論―
  • 国語教育における文学教材の可能性―村上春樹『バースデイ・ガール』
  • 文学テクスト論が切り拓く教育の可能性―村上春樹『レキシントンの幽霊』の教材研究
  • 『桃太郎』―教科書と児童文学の移り変わる物語―