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研究・産学連携

各地で活躍する共立生

各地で活躍する共立生

社会貢献-各地で活躍する共立生(家政学部児童学科)

 とある夏の日、幼児から高校生までを対象とした児童相談所の一時保護所において、夜間指導員として月に何度か宿泊勤務をしている学生たちに話を聞く機会を得ました。そこから、現場で働いてこそ実感できることを糧として、悩みながらも意識を高く持ち懸命に取り組む学生たちの姿が見えてきました。児童学科の2年生から4年生までの6名がそれぞれの経験を共有し、次の活動に向け活かしています。以下は、学生たちの声の採録です。

4年生 Kさん

  • 授業において文字で読んで信じられないことが現実に常にあることに衝撃を受けた。
  • 仲良くなりすぎるのはよくないので、子どもたちとの距離感が難しいと感じる。
  • はじめは保育所・幼稚園での実習における子どもとの接し方との違いにとまどったが、現場で働くことで知識や力が身についたと思う。
  • 「かわいそう」とは思わないようにしている。背景を知りすぎないことも必要だと思う。
  • 将来保育所などに勤める際にも、このような環境に置かれている子どもがいるかもしれない、という意識が持てるようになった。

4年生 Sさん

  • 教科書や授業の表面的なところではなく、現場の声に耳を傾け自分の知識と擦り合わせながら取り組むことで、やりがいを感じる。
  • 一時保護所としては子どもとの適切な距離感が必要だと思う。信頼関係は結ぶが、愛着を結ぶところではない。子どもの将来の身の振り方を意識して取り組んでいる。
  • これまでの自分の身の回りとはかけ離れた世界を知り、価値観・世界観を広げられた。
  • 指導の中で悩む職員の姿や児童福祉司との連携の様子なども現場でリアルに感じている。

4年生 Nさん

  • 現場に出ると実践的に学べる。現実を知り知識が深まる。一週間に1~2回の勤務であることや、子どもにも入れ替わりがあることから、関係づくりが難しい。
  • 夜になると「寂しい」という子どももいる。その言葉を聞き流さず受け入れる必要もある。
  • 教科書で学べないことを体験できている。愛着に結びつけず、どう返していくかが難しい。
  • 様々なところに働く場所があり、その場によって関わり方が違うことを知った。

4年生 Mさん

  • 例えば、寝かしつけるときに背中をトントンしてあげるのは優しさなのか?トントン無しで眠れなくなってしまうと将来その子が困る。その子にとっての優しさが何なのかを常に考えている。
  • 自分のことを見てほしいがためにわざと悪いことをする子どもがいるため、構いすぎてもいけないという意識を持って取り組んでいる。甘やかしすぎはNG。愛情のバランスが重要だと思う。
  • 安心してすごせる場所として、将来を考えながら対応する。
  • 子どもたちのファイルを読むと、親の態度や置かれている状況など知らない世界を身近に感じることができる。すべてを知った上で考えるということができるようになった。

3年生 Sさん

  • 保育所での勤務を志望していてこれまで福祉関係は知らなかったが、教室の授業だけでは学べない現実を知った。
  • 子どもにとって周りは大人。自分は学生だが一人のしっかりとした大人として関われるよう意識している。
  • 接し方によって心をひらいてくれるようになると嬉しい。信頼関係が大切だと思う。
  • 将来は未確定だが、夜間指導員を経験して視野が広がった。

2年生 Kさん

  • まだはじめたばかりだが、先輩のがんばっている姿を見ると、私もがんばらなければとの思いを強くしている。
  • 一時保護所における保護期間は二カ月が原則だが、三~四カ月いる子どももいるのにはびっくりした。複雑な事情があるようである。
  • 頼りにされすぎてもいけないという意識を持っている。

 児童相談所の一時保護所という公的機関の中で責任を持って活躍する6名の学生の声をまとめましたが、発言内容からも、一人ひとりにとって大きな学びの場となっていることが伺えました。

 一時保護所では毎回記録を書くそうで、お互い記録を確認しあう時に、共立生である仲間ががんばっていることが認識でき、とても嬉しくかつ励まされるとのこと。

 この貴重な経験を、各々の人生の中で活かし、さらなる飛躍につなげられるよう期待しています。

(取材日:平成27年7月22日 記載している学年は取材当時のものです)