アメリカの大統領は
       こうして選ばれる  
  
  TERUO MATSUBARA

      

 4年に1度行われるものといえば、何を思い出すか?  アメリカの大統領選挙は、4で割り切れる年 ( 閏年・
オリンピックのある年 )に行われる。
 大統領になるための条件は?  それは ――― 、 
  1) 出生によるアメリカ人であること   2) 35歳以上であること   3) アメリカに14年以上在住していること
の3つである。 移民の人は、州知事にはなれるが大統領にはなれない。
 任期途中で大統領が死亡したり辞任した場合は、副大統領が大統領に昇格して残りの任期を引き継ぐ。 副大
統領の次は下院議長、国務長官の順番に大統領継承権がある。

    

  オハイオ州  7人   タフト、など
 バージニア州  7人  ウィルソン、など
 ニューヨーク州  6人   
  左表は、レーガン大統領までの40人の大統領の出身州
 を書いたものだ。
  戦後は上位2州から遠ざかっている。 戦後最多は、アイ 
 ゼンハワー、ジョンソン、ブッシュを輩出したテキサス州で、
   南部、西部出身者が多くなった。

 

 アメリカの宗教の内訳は、カトリックが24%、プロテスタントが51%を占める( 2011年 )。 歴代のアメリカ
大統領の宗教をみると、ケネディだけがカトリックで、他全員はプロテスタントである。 アメリカは、プロテスタント
の人が作った国といえる。

 

 

     大統領選挙のしくみ  

 

 アメリカの大統領は、国民が大統領選挙人を選び、その人が大統領を選挙するという間接選挙の形をとる。

 

大統領が選ばれるまでの流れをみていこう。

立候補の宣言   まず、大統領になりたい人が立候補を宣言する。
            そして、選挙資金や選挙運動のボランティアを集める。 
   アメリカでは、日本の政見放送のように、国の費用で候補者の主張を紹介する制度がない。 候補者は自
  分のPRのためにお金を使って民間放送で政策を訴えるコマーシャルを流す。 選挙演説のために各地を回
  るのもアメリカは広いので、交通費がかかる。 したがって、約1年間の選挙運動には、スタッフの人件費や
  交通費など多額の資金が必要となる。 立候補に名乗りをあげたものの、お金が思うように集まらず、途中で
  選挙戦から降りてしまう候補者も多い。 

 

 

 大統領選挙の
  ポイント!
 <前半 1〜 6月> 政党内の候補者を決める争いで、同じ政党の人がライバル!
 8、9月に、政党内の候補者が決定する。
 <後半 9〜11月> ライバル政党の候補者との一騎打ち!

 

 

1〜6月 各州ごとに予備選挙( プライマリー )・党員集会( コーカス )

   アメリカ50の州で、夏に予定されている党全国大会の時に各党の大統領候補者を投票する代議員選び
  が1月から始まる。
   この代議員を選ぶ方法には、予備選挙党員集会の二つがあり、州・党によってどちらの方法をとるか決
  める。 両方実施する州もある。  予備選挙といっても立候補者本人に投票するのではなく、代議員を選ぶ
  間接選挙である。 代議員の数は州によってちがう。   全国党大会に出席する代議員数は民主党が
  4049名、共和党が2380名である( 2012年 )。 
   民主党の代議員は、特別代議員と一般代議員に分かれる。 特別代議員は全体の20%で、州知事や
  連邦議員など党の有力者から構成され、自分の意思で投票できる。 残り80%は一般代議員で、誰を支持
  するかを予備選挙や党員集会で選ばれる前に、あらかじめ表明していなければならない。 A候補を支持し
  たければ、 「 私はA候補を支持します 」 という代議員を選べばいい。 選ばれた代議員は 「 ○○さん
  ( 大統領候補者 ) に投票します」 とあらかじめ言っている人なので、代議員が決まるということは、その州
  の大統領候補が決まるということである。 
    * 予備選挙 ――― 党に登録した有権者が選挙で代議員を決める方法。
    * 党員集会 ――― 話し合いでどの代議員にするかを決める方法。

 

   アメリカでは、18歳になると選挙権が与えられるが、日本とちがって登録所に行って登録しないと選挙
  権が与えられない。 その登録用紙に 「 あなたはどの政党に所属しますか 」 という欄があり、その欄に
  共和党、あるいは民主党と書くことによって、それぞれの党の予備選挙に参加できる。 
   この登録をしている人の割合は、1996年の大統領選挙のデータだと 54.2%。 24歳以下の登録
  率は30%強と低く、年齢が上がると登録率も上がる。  また、人種別では、白人が56%、黒人が51%
  なのに対し、ヒスパニック(中南米系移民)は27%にとどまっている。      
   民主党には全国規則がある。 選挙実施の期間、そして、州の代議員数は候補者の得票数に応じて
  比例配分することになっている。  党員集会は投票で決める州もあるが、アメリカで早い時期に代議員選
  びをするアイオワ州では、民主党員が 地区ごとに住民が学校などに集まって話し合い、どの候補者を支持
  するかを確定する。最終的な支持者数に応じて、州全体の代議員を配分する。 共和党はこうした原則は
  なく、州にまかせている。 カリフォルニア州をはじめ多くの州は得票数1位の候補が全代議員を獲得する
  勝者独占方式をとっている。
   毎回、最初の予備選挙はニューハンプシャー州で行われる。  これは州が知名度を高めるために
  「 どの州よりも早く予備選挙を行う 」 という規則があるためである。  党の候補者が事実上決まって
  から予備選をしても意味がない。 早く候補者選びをするほど、州は注目を浴び、大統領候補にいろいろ
  な約束をさせることができる。 早い段階で行い、影響力を示したい ――― 候補者選びの日を早める
  州が相次ぐようになった。  3月には、代議員の数が多いカリフォルニア州ニューヨーク州などで
  投票が行われ、政党の大統領候補がほぼ決まる。 

    

7〜8月  党全国大会
 ・・・・ 各州から集まった代議員 ( 各州の予備選挙で当
 選した人 ) が選挙をして、各党の大統領候補者が決定!
  ( 2012年の例 ) 
    共和党 → ロムニー、 民主党 → オバマ、に決定する。
  これ以後は、ライバル政党の候補者との戦いになる。 
   選挙戦の中心はテレビ討論やコマーシャルである。
   1992年大統領選挙における候補者のテレビ討論  右写真→
   中央の司会者をはさんで、左側がブッシュ、右側がクリントン  

 

 注意!
  選挙の前半戦は、共和党員でも民主党員でもない一般国民は、事の成り行きをながめているだけ
 である。 共和党の大統領候補を夏までに決める権利を持つのは、共和党員だけが持っており、
 一般国民は選ぶ権利がない。 民主党の大統領候補も同じで、民主党員だけが民主党の大統領
 候補を決める権利を持っている。 共和党員や政党に属さない人は、選ぶ権利がないのだ。

 

 

11月 第一月曜日の次の火曜日   一般選挙 ( 大統領選挙人を選挙 ) 

    実質、この選挙で大統領が決定する。 一般選挙で選ばれるのは大統領候補者本人ではなく、全国で
  538人の大統領選挙人が選ばれる。 州単位で実施され、各党の大統領候補者と彼を支持する一群の大統
  領選挙人団の名前がセットで印刷されている用紙に、一般有権者が○をつけて投票する方法が一般的だが、
  実際の投票では大統領選挙人の名前は記載されず、大統領候補者の名前を直接マークする州がほとんどで
  ある。
   各州に配分される大統領選挙人の数は、人口に比例し総数 538人。 この数は、アメリカの国会議員の数
  と同じで、一番割当の多い州はカリフォルニア州の55である。 この一般選挙で選ばれた大統領選挙人が、
  12月の選挙でどちらかの大統領候補者に投票して、正式に大統領が決まる。
    ※ 大統領選挙人は、50州と首都ワシントン特別区の全部で51の選挙区から選ばれる。

 
 ( 大統領選挙人を選ぶ方式 = 勝者独占方式 winner takes all とは? ) 
    一票でも多く得票した候補者が、その州の大統領選挙人をすべて独占するというやり方だ。
    たとえば、大統領選挙人が10人割り当てられているA州があったとする。 一般選挙の結果、民主党候補
  が共和党候補を上回った場合、A州の大統領選挙人10人はすべて民主党候補支持者となるのだ。 A州の
  60%が民主党候補を支持しているのなら、10人中6人を民主党候補支持者から出せばいい ――― という日
  本の衆議院議員選挙で用いられる比例代表制とは異なる考え方だ。 アメリカは州の力が強い。 州の代表で
  ある大統領選挙人は州としての意見をひとつに絞ろう、つまり 「 私たちの州はこの人を支持します 」 という意
  見をはっきりさせようとして勝者独占方式がとられたと言われている。 
 
   一般選挙で当選した大統領選挙人は、どの候補者に投票するかわかっていて、彼らが12月に大統領を投票
  で選ぶのだから、、この一般選挙の結果で事実上の当選者( 次期アメリカ大統領 ) が決定するといってよい。
 
   1787年、アメリカ憲法を作る時、大統領の選出方法でもめた。 指導者は、市民が大統領を選択する能力
  を信用せず、間接選挙を採用、この大統領選挙人の制度を考え出したのだ。
   当落を決定するのは得票率ではなく、獲得した大統領選挙人の数なのだ。 得票が小差でも、大統領選挙人
  数で大差がついたり、相手より多く得票していても大統領選挙人の数で負けて大統領になれないケースもある
  のだ。

 

 

  選挙権は登録しないと与えられない

   日本では20歳以上の日本国民には自動的に選挙権が与えられる。 しかし、米国では投票しようとする
  市民は事前に有権者登録をしなければならない。 自発的に「選挙に参加する」という意思を持っていなけ
  れば、投票できない。 
   膨大な移民が押し寄せた19世紀、ほとんど読み書きもできない新移民たちが、世話役の指示通りに1票
  を行使した。 登録制度はこれを防ぎ、政治や民主主義に知識も関心もない層の排除をはかる仕組みだっ
  た。 
   2000年大統領選の投票率は登録有権者でみると8割を超すが、投票年齢人口全体からみると5割を
  わずかに上回るにとどまった。

 

  なぜ、投票日が 「11月の第一月曜日の次の火曜日」 なのか?

   米議会がこれを決めたのは、1845年である。  11月を選んだ理由は 「 農閑期だから高い投票率を得ら
  れる 」である。  そして、日曜日は 「 教会に行く日 」 、月曜日は 「 週の初めで忙しい 」 ので排除された。
  木曜日は「 イギリスの投票日 」、金曜日は 「 週の終わりの日 」 、土曜日は 「 家族そろってショッピングの
  日 」 で排除、結局、残った火・水のうち火曜日が選ばれた。 
   また、投票日を 「 第一火曜日 」 としないでこんな表現にしたのは、11月1日が投票日になることを防ぐ
  ためである。 理由は 「 11月1日だと10月の決算でみんな忙しいから 」 だそうだ。

 

12月 第二水曜日の次の月曜日 ―――  大統領選挙人による投票 

   過半数の 270人以上の票を獲得した候補者が大統領となる。 が、11月の一般選挙で結果はわかってい
  るので、この選挙は形式的な選挙である。 過半数の270人以上獲得した候補者がいない場合は、上位3人
  の候補の中から連邦下院議会の投票で選ぶことになっている。
   11月の一般選挙で選ばれた大統領選挙人が、各州都に集まり、大統領を選挙する。
 Q なぜ、このような形式上の選挙をするのか?
    交通や通信手段が発達していなかった時代の名残りである。 以前は、アメリカ全土の票を短時間に集計
   することができなかったので、少人数の選挙人に託した。 今では形式化しており、やめようという声もある。

 

翌年1月 6日   連邦議会で開票

   1月20日   新大統領の就任式

   1月20日正午、新しい大統領は最高裁判所長官の立会いのもとに宣誓を行う。  この就任式で宣誓をする
  時、新しい大統領は大統領夫人が持つ聖書の上に手を置いて行われる。

 


 

 [ 最近の大統領選挙の結果 ]                  二大政党以外から立候補するには ?
  勝った候補 負けた候補
1960年 ケネディ  ( 民主党 ) ニクソン     ( 共和党 )
1964年 ジョンソン ( 民主党 ) ウォーター    ( 共和党 )
1968年 ニクソン  ( 共和党 ) ハンフリー   ( 民主党 )
1972年 ニクソン  ( 共和党 ) マクガバン   ( 民主党 )
1976年 カーター  ( 民主党 ) フォード     ( 共和党 )
1980年 レーガン  ( 共和党 ) カーター    ( 民主党 )
1984年 レーガン  ( 共和党 ) モンデール   ( 民主党 )
1988年 ブッシュ  ( 共和党 ) デュカキス    ( 民主党 )
1992年 クリントン ( 民主党 ) ブッシュ     ( 共和党 )
1996年 クリントン ( 民主党 ) ドール      ( 共和党 )
2000年 ブッシュ  ( 共和党 ) ゴア      ( 民主党 )
2004年 ブッシュ  ( 共和党 ) ケリー     ( 民主党 ) 
2008年 オバマ  ( 民主党 ) マケイン   ( 共和党 )
2012年 オバマ  ( 民主党 ) ロムニー   ( 共和党 )
   第3党と無所属からの大統領候補認定
 の判断は、各州にゆだねられており、ほと
 んどの州が一定数の有権者の署名を集め
 めて州政府に提出すれば、独立した候補
 として認められる。 全米50州で必要署名
 を集め、州政府の審査をパスすれば、
 「 正式候補 」 となるのである。 全米で必
 要な署名総数は、約80万人分。  しかし、
 州ごとに条件がちがい、テネシー州は
 275人の有権者の署名でいいのに対して、
 カリフォルニア州は 134000人もの署名が
 必要となっている。  また、ニューヨーク州や
 テキサス州では、予備選挙投票者の署名は
 無効という条件がついている。

 

  2000年の大統領選挙に関しては、このサイトを!
  2004年の大統領選挙に関しては、このサイトを!
  2008年の大統領選挙に関しては、このサイトを!
  2012年の大統領選挙に関しては、このサイトを!

 

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