アメリカの産業 
            TERUO MATSUBARA     

 

   アメリカの農業   

 

 アメリカの農業人口は全体の3%ほど だが、農業生産は世界有数で、各国に農作物を輸出している。
 アメリカの農業の特色は ―――
   @ 大農法    大型の農業機械を用いて、広い耕地を経営する。 農場の経営規模が大きい。
                            労働生産性(農業従事者1人あたりの生産量)は非常に高い。
   A 適地適作     気候や土壌にあった作物を大量に生産する。
 生産過剰になることもあるが、余った場合、アメリカはそれを輸出や食料援助に回す。 安価で大量に生産される
ので、国際競争力が強く、農業は重要な輸出産業になっている。

 

     農業従事者1人あたりの耕地面積    農業従事者1人あたりの穀物生産量
  アメリカ         63.5 ha     152.2 t
  日本               2.7 ha       6.1 t
  タイ        0.1 ha       1.8 t

                                      ――― 2007年 ―――

【適地適作…農業分布】

 小麦の栽培条件に、年間降水量
500〜700mm というのがある。
 右地図にある西経100°線
年間降水量500mmの境界に 
なっており、そこに小麦の栽培地
域がある。 この線より西側は、降
水量が500mmより少ないグレー
トプレーンズと呼ばれるステップ気
候の大平原が広がっている。 ここ
では企業的牧畜が行われている。
 西半分が乾燥するのは、ロッキ
ー山脈が湿潤な偏西風をさえぎっ
てしまうからである。
 西経100度ラインの東側が降水量500mmより多い地域で、北から酪農、混合農業(とうもろこしなど)、綿花栽
培が行われている。
  ラインのすぐ東側にプレーリーと呼ばれる温暖湿潤気候の草原地帯がある。 プレーリーからグレートプレーンズ
にかけて肥沃な黒色土(プレーリー土)が広がっている。 ここでは企業的穀物農業が行われ、北は春小麦、南は
冬小麦である。

 

地域ごとの詳しい農業をみていこう。

冷涼な北東部   
    五大湖周辺から北東部の大都市近くは、氷河に覆われていたやせた土地なので、酪農野菜栽培を行って
   いる。 北緯40度以北は冷涼な亜寒帯気候ということもあり、酪農がさかんである。

 

五大湖南( オハイオ州からイリノイ州、アイオワ州、ネブラスカ州にかけて )
    コーンベルトと呼ばれ、とうもろこしが栽培されている。 その西側のプレーリーやグレートプレーンズに
   比べて降水量が多いので、とうもろこしの生育に適している。 とうもろこしの他には、だいずの栽培もさか
   んである。 
    とうもろこしとだいずは飼料として使われるので、牛や豚の飼育もさかんで、混合農業が行われている。
   これは、開拓期に余った穀物で豚を飼ったことに始まるが、市場で穀物が高い時には穀物を売り、肉が高
   い時には肉を売ることができる。 フィードロット(牛の肥育場)も広がりつつあり、商業的混合農業地域である。

 

 ※ とうもろこしの生産
     @ アメリカ 42%   A 中国 19%   
     B ブラジル  7% ( 2007年 )
 ※ とうもろこしの輸出
     @ アメリカ 51%   B 中国 10%   
     A アルゼンチン 15% ( 2005年 )
 ※ だいずの生産  @ アメリカ  35%   A ブラジル  26%  B アルゼンチン   20% ( 2008年 )

 

とうもろこし地帯の西側 
  ( プレーリーからグレートプレーンズにかけて  )  
   小麦の産地。 大型トラクターやコンバインを使って
  大規模に作られている。
   アメリカ北部では、寒さのため春になって種をまき
  秋に収穫する春小麦が、中央部では、秋に種をまき
  翌年の夏に収穫する冬小麦が栽培されている。世界
  で収穫される小麦の大部分は冬小麦である。
   土地の乾燥を防ぐため、小麦畑と休閑地がしま模
  様をつくる。
   ホームステッド法( 公有地を開墾した者に約65haの土地を交付する法律 )で決められた程度の土地を持
  つ農家が、それぞれ大型機械を導入するのは割にあわないため、ネブラスカ州などでは、収穫時にコンバイ
  ンクルーと呼ばれる収穫専門の集団( 右写真 ) がやってきて、各地の農場を回っていく。
     ※ コンバイン ――― 刈り取り機と脱穀機を組み合わせた機械。

  

    ☆ 春小麦…ノースダコタ州、サウスダコタ州がさかんで、集散地はミネアポリス。
    ☆ 冬小麦…カンザス州が中心で、集散地はカンザスシティ。


 
  最近の農業事情 ――― 穀物メジャー

   小麦栽培の農家のほとんどは家族経営だが、種まきや農薬散布、収穫など人手が必要な作業
  は、大型機械を持つ専門業者に依頼している。 
   近年は、農業関連の大企業が穀物の流通や貿易に大きな影響を及ぼすようになり、穀物メジャ
  と呼ばれている。 穀物メジャーは、穀物の生産地や集散地、港湾に貯蔵倉庫を所有し、トラック、
  輸送船で集荷・運送するなど流通を支配する。 世界中に支社を持ち、情報を得て、流通量を操作
    する。 その周囲にはさまざまな関連企業が出てくる。 農業機械、化学肥料、農薬など…これらの
    商売をまとめてアグリビジネスという。
   穀物は、各地のカントリーエレベーター( 穀物倉庫 )に集められ、その多くが穀物メジャーの手で
  ミシシッピ川を利用して、河口のニューオーリンズ港へ運ばれ、世界に輸出される。
   穀物メジャーは、農産物の流通・営業だけでなく、近年ではバイオテクノロジーを生かした新たな
  繊維や、品種改良の研究開発にも着手している。 収穫量が数倍多いとうもろこしや、機械での
  収穫が容易なように熟しても固いトマト、成長の早い肉用にわとりであるブロイラーなどが次々と
  開発されている。
   アメリカでは穀物メジャーは、現在、カーギル社とADM社の2社に再編された。 カーギル社は、
  アメリカのミネアポリスに本社を置く。 2位のADM社の2倍の売り上げと従業員を誇る世界最大
  の穀物メジャーで、世界約60ヵ国に700を超える事業所を抱える多国籍企業である。
   農業経営者の中には、最近、実際の農作業は労働者にまかせて、自分は都市に事務所を持ち、
  市場の動きに合わせて農産物の作付量を決める経営者 ( スーツケースファーマー ) も増加してい
  る。

 

南部 ( メキシコ湾岸からフロリダ半島にかけて )
   綿花の生産は北緯37度以南の地域に集中し
  ている。 黒人の多い州とほぼ一致する。
   かつては、アフリカから奴隷として連れてこられ
  た黒人を労働力に、プランテーションで綿花
  栽培していた。 
   黒人奴隷に頼っていた綿花の摘み取り作業も
  現在は、機械による綿つみ( 右写真 )が行われ
  ている。 機械化が進んだことで、かつての奴隷
  のように厳しい条件で働く必要はなくなった。  
・ 

 

 ←↓ 南部の綿花畑
 
 ☆ 綿花栽培はジョージア州、ミシシッピ州
  アーカンソー州などがさかんで、コットン
  ベルトと呼ばれている。 

 

 南部の綿花地帯は、連作障害や病害虫によって生産力が低下してきた。 そのため、綿花だけに頼るモノカルチ
ャー経済から脱して、近年は、大豆やとうもろこし 、たばこなどを栽培している。 この動きに伴って、綿花地帯は徐
々に西へ移動し、テキサス州やカリフォルニア州へ拡大している。

 

    ロッキー山脈の西側を流れるコロラド川にフーヴァーダムが建設されたことで、その下流にたくさんの
   ダムや人造湖が作られ、洪水防止・かんがい用水の供給ができるようになった。 それによって、ロサン
   ゼルスやサンディエゴといった西海岸の大都市に生活用水が提供されるようになった。
    このフーヴァーダムによって、カリフォルニア半島の付け根にあるインピリアルバレーという平原のかん
   がいが行われ、綿花をはじめ、野菜や果物の栽培が行われている。

 

                     <作物別生産、上位5州の分布>

  小麦                    綿花                 とうもろこし


 

フロリダ半島  オレンジなどの果樹栽培がさかんである。

 

太平洋岸のカリフォルニア州  
   夏は高温で乾燥する地中海性気候のため、
  遠くのダムから水をひき、近代的なかんがい
  設備を整えて、オレンジやぶどうなどを栽培し
  ている ( =地中海式農業 右写真 )。  
   カリフォルニア州は、全米最大の農業生産
  州である。 大農場では、比較的賃金が安い
  ヒスパニックの人々が働いている。 
   
   また、米も作られ( カリフォルニア米 )、
  アメリカの野菜やくだものの大半を供給して
  いる。 

              

    セントラルバレーは、カリフォルニア州の中央部にある広く平らな谷を指し、果樹園が広がる農業の
   さかんな地域である。 シリコンバレーはIC産業がさかんな一帯をさす言葉で、シリコンバレーとセント
   ラルバレーは隣同士である。

 

 

【牛肉の生産】     

 アメリカは、ほぼ真ん中の西経100度の線を境に、東側は雨が多く農地に適しているのに対して、西側は
雨が少なく乾燥した地帯が広がっている。 西側の乾燥地帯では牧草の生育が悪く、牛は広大なエリアで放牧
するしかなかった。 そのため焼きごてで牛に誰が所有者であるかを示す焼印を押し、馬に乗って見回った。 
これが西部劇に登場するカウボーイである。 

  

 現在も放牧はさかんだが、牛肉の需要が
伸びたので、それまでの放牧地だけでなく、
大規模なフィードロット( 肥育場 )で効率的に
太らせ、出荷されている。 
 フィードロットでは、子牛に牧草よりも栄養価
の高いとうもろこしやだいずを与えて、多数の
牛を放牧地よりも短い期間で肥育している。
 このようなフィードロットは、グレートプレーン
ズに多くみられるが、コーンベルトなど他の農
業地域にも広がりつつある。
・            カンザス州のフィードロット →

 

 雨の少ないグレートプレーンズで、地下
水が利用できる地域では、中心に井戸を
掘り、360度回転するアームで水をまく
センターピポット方式で、とうもろこしが栽
培されている。 
 右写真は、半径500mの大型スプリンク
ラーで円形に散水している。 収穫された
とうもろこしは、フィードロットで牛の飼料と
なる。 
 近年は地下水の枯渇などの問題が起き
ている。
 センターピボット方式は、西経100度ラインの西側・グレートプレーンズに多い。 乾燥しているから灌漑するわ
けである。
 ※ 牛肉の生産  @ アメリカ 20%  A ブラジル 15%  B 中国 9%  C アルゼンチン 5% ( 2008年 )

 

 

【世界の食料庫】

 アメリカは、だいず・とうもろこし・牛肉・レモンなどの世界最大の生産国で、小麦・とうもろこし・だいずの世界最
大の輸出国である。 日本をはじめ世界各国に輸出し、「 世界の食料庫 」 と呼ばれている。
 日本とアメリカの貿易は、日本の輸出が輸入を大きく上回っているため、アメリカは日本に対して、農産物の輸
入自由化と輸入量の増加を強く求めてきた。 
 日本の豊かな食生活は、アメリカの農業に支えられているが、そこには食品の安全性に対する考え方のちがい
など、解決すべきさまざまな問題がある。
  <例> 牛肉  ―――  BSE問題が発生し、一時、日本はアメリカ産牛肉の輸入をストップした。

 

 だいずの輸出量    @ アメリカ 41%    A ブラジル  37%    B アルゼンチン 12%  
     ★ 生産量も世界の33%を占めて第1位
 とうもろこしの輸出量    @ アメリカ  61%    A アルゼンチン 11%   B フランス  6%
     ★ 生産量も世界の42%を占めて第1位
 小麦の輸出量   @ アメリカ  19%  A カナダ 15%  B フランス 13%
     ★生産量は、@中国 18%  Aインド  12%  Bアメリカ  9%

                                                        数字は、2007年

 

 

【農業の問題】

 アメリカでは、耕地の高低を考えずに大型機械
を使って、耕作や収穫をしてきた。 そのため、耕
地がいたみ、少しでも傾斜がある耕地では、雨な
どで表面の土壌が流失する土壌浸食の問題が起
きている。
  そこで、右写真のように、等高線に沿って作物
を植えつける等高線耕作などの工夫がされてい
る。

 

 また、化学肥料や農薬の大量使用によって、土壌が汚染され、地力が低下している。  カリフォルニアなどの
乾燥した地帯では、かんがいによって土中の塩分が吹き出してくる塩害が起きている。  地表に塩分が吹き出し
た耕地では、なかなか農作物が育たず塩害が進むと放棄されることもある。

 

 最近では、生産過剰による価格の下落に対応できるように、適地適作からいくつかの作物を多角的に栽培する
農家が増えている。

 

 

    アメリカの鉱工業   

 

 アメリカは、豊かな資源と巨大な資金、自由な企業の競争や進んだ科学技術によって今や世界一の工業国
なった。  しかし、日本やドイツが安くて品質のよい製品を生産するようになると、アメリカの重工業の世界的地
位は低下し、近年はアジア諸国にも追い上げられるようになった。 技術革新が遅れ、賃金水準も高かったの
で、安くて優秀な日本やヨーロッパの商品に苦戦した。
 NIES、ASEAN、中国などの安価な製品に対抗するため、多くの企業が生産拠点を海外に移し、国内産業が
空洞化してしまった。 そうなると、アメリカ企業は好調でも、国内では失業者が増え、財政も苦しくなった。
 そこで、停滞する北部の工業地域ではなく、南部にエレクトロニクスや航空宇宙産業などの先端技術産業( ハ
イテク産業 )を多数立地することになった。
 最も進んだ技術を用いたコンピュータやバイオテクノロジーなど先端技術産業は、アメリカ経済を支える産業と
なっている。 1990年代のIT革命以降、アメリカの経済力は回復していった。

 

 アメリカの工業は、
 今 …
  工業地域の中心が北東から南西へ … 移動している。
    鉄鋼・自動車を扱う北東部 ⇒ 電子・半導体など先端技術産業の南西部へ

 

 

【豊富な地下資源】

 アメリカには、石炭や鉄鉱石の産地が多い。 
   ※ 石炭の生産   @ 中国 49%   A アメリカ 12%   B インド 9% ( 2005年 )
 
  ★ アパラチア炭田
  ★ メサビ鉄鉱石  ( 五大湖・スペリオル湖西方に位置、露天掘りで「人類があけた世界一大きな穴」といわ
              れる。 しかし、メサビ鉄山は枯渇しつつあり、近年は、良質な輸入鉄鉱石への依存度が
              高まる。 )
  ★ ビンガム銅鉱山 ( ロッキー山脈付近/大規模な露天掘り )
 
 ロッキー山脈の近くでは、鉛・亜鉛・銅も産出される。 メキシコ湾岸・カリフォルニア・アラスカ ( ブルドーベイ油
田 )では石油や天然ガスを産出する。
  ★ アラスカ油田のパイプライン ――― 北極海沿岸の油田から太平洋岸までアラスカを縦断するものが
                         1977年に完成。 永久凍土を切り開いて作る。 

 

 アメリカは、石油生産量は、ロシア、サウジアラビアに次いで第3位だが、輸入量も多く世界一である。 工業が
発達し、大量の資源が消費されるためで、外国の油田や鉱山の開発にも積極的に資金や技術を導入して、それ
らを輸入している。  アメリカ国内に油田はあっても、アメリカは石油の最大輸入国でもある。  
 石炭以外は自給することができず、鉄鉱石も国内消費量の4分の1くらいを輸入に頼っている。


 

【アメリカの工業地域】

大西洋岸
   ニューイングランド地方は最も早くから工業
  が発達した場所である。
 
  大西洋岸には、どんな工業都市があるか ?
   ・ ニューヨーク、フィラデルフィア、ボルティ
    モア     
    いずれも、製鉄、機械、造船、繊維、食品
   石油化学など総合的な大工業地帯。
      
 
   ・ボストン   高級綿織物と電子工業。  古くから、せんい工業がさかんである。 
            現在は、化学せんいが中心で、せんい工業は、技術力を要する高級な綿織物工業しか残って
          いない。 
           ボストン周辺は近年、エレクトロニクスハイウェーと呼ばれている。 周辺のハーバード大学や
          MIT(マサチューセッツ工科大学)との結びつきでハイテク産業の研究開発が行われている。 
          大消費地・ニューヨークとの交通機関によるつながりも重要な立地条件なので、「ハイウェー」な
          のである。
     ※ 学園都市ボストンには、ハーバード大学がある。

 

五大湖周辺
    アメリカの心臓部。  工業が発達した理由には、@セントローレンス川と五大湖の水運が利用できる
   から、A( メサビ鉄山やアパラチア山脈の炭田など )資源が豊富であるから ――― が、あげられる。
    メサビ鉄山は枯渇しつつあり、カナダやブラジルから鉄鉱石を輸入している。 そうなると、臨海部の都
   市の方が有利となる。 ボルティモア郊外にあるスパローズポイントは、ブラジルなどからの輸入には有利
   である。
  <五大湖周辺の工業都市>
    ・  ピッツバーグ    五大湖の南の都市で、鉄鋼業がさかん。 メサビ鉄山から五大湖の水運によって
               鉄鉱石が運ばれる。

 

    鉄鋼や自動車は、日本やヨーロッパからの輸入が増えたので生産がふるわなくなった。 ピッツバーグ
   は、かつて「 鉄の町 」といわれたが、1980年代に鉄鋼の生産は縮小した。 
    公害問題やアメリカ製鉄業の衰退で、ピッツバーグは人口流失と都市環境の悪化を招いた。 その後、
   都市再開発が行われ、大学や病院などの研究機関やIT産業が集積し「 ハイテクの町 」と呼ばれるよう
   になった。

 

    ・グリーブランド  鉄鋼業。
    ・  デトロイト   自動車産業の町として世界的に有名である。  デトロイトは、世界で初めて流れ作業に
             よる自動車の大量生産を始めた都市である。 ピッツバーグで作られた鉄鋼を材料とす
             る自動車の大量生産が始まると、その周辺に、タイヤを作るゴム工業、ガラス工業など
             自動車生産に関連する工場ができた。 
        ※ 自動車生産台数( 2005年 )
          @ アメリカ 18.0%  A 日本 16.2%  B ドイツ  8.7%  C 中国  8.6%
    ・  シカゴ     大農業地帯をひかえ、重工業の他に、周辺の農業地域から農産物が集まる町で、
             製粉・缶詰など食品加工がさかんな総合工業都市。

 

 工場の施設老朽化も問題だし、長い労働運動の歴史を持つこの地域は、労働組合の力が強く、人件費がとても
高い。 退職者への年金の負担も大きく、鉄鋼や自動車産業の国際競争が激しくなると、勝ち残りがむずかしくな
る。 五大湖周辺では、日本の自動車会社の現地生産が続いている。


 

サンベルト 
    南部は、アパラチア山脈の南で綿工業がさかんな他は、工業の遅れた地域だった。  しかし、現在で
  は、企業の進出が目立つ新しい工業地帯に成長し、1970年代から工業が発達した北緯37度以南の地域
  をサンベルトという。 
    太平洋岸のカリフォルニア州から、テキサス州、フロリダ州、
  ジョージア州などを含む。 寒い北部に対して、太陽輝く新興工
  業地域という意味でつけられた。 
                    の部分がサンベルトと呼ばれる地域⇒

 

   Q サンベルトで工業が発達した理由は?
       @ 気候が温暖で生活しやすいから   A 土地が安いから  B 税制上有利であるから
       C ( メキシコ湾岸油田など )資源があるから   D 地元が熱心に工場を誘致したから 
    近年、南部のサンベルトの工業地帯の発達によって、北部から南部への人口移動もみられる。 

 

 

   メキシコ湾岸には、 600Kmにおよぶ 「 黄金の三
  日月地帯 」 とよばれる油田地帯が広がっている。
   メキシコ湾岸油田( 左写真 )はアメリカの石油産出
  量の約20%を占め、南部最大の都市ヒューストンなど
  の工業都市を支えている。
・    
・  
 2010年、メキシコ湾岸で石油を掘削していたBP社の
施設が爆発し、海底へと伸びる掘削パイプが折れて、
海底油田から大量の原油がメキシコ湾全体へ流出する
事故が発生した。
 原油流出量は、湾岸戦争に次ぐ規模とみられている。
                     事故の2枚の写真 ↓→

   

 

 

<サンベルトの工業都市>

  ・ バーミングハム     戦中から、鉄鋼業がさかんである。
  ・ ヒューストン     石油化学工業、航空機をはじめ宇宙産業がさかんである。 

 

 

  フロリダ半島にはケネディ宇宙センターが     ( 左写真 ) スペースシャトル格納整備庫
    ( 右写真 ) スペースシャトルの打ち上げ  
 あり、NASA( アメリカ航空宇宙局 )のロケット
 発射基地がある。

 

 

 テキサス州の電子工業が発達した地域を、シリコンプレーンと呼んでいる。
  ・ ダラス( テキサス州 )     航空機産業、電子機器( 半導体 )の工業がさかんである。  
  ・ フォートワース( テキサス州 )    電子工業。 
  ・ ロサンゼルス     航空機( ロッキード社がある )・石油化学工業がさかんである。
  ・ サンフランシスコ     ハイテク企業が集まってできた町・シリコンバレーで、電子工業がさかんである。

      

    サンフランシスコから車で南に1時間ほど走ったところにあるサンノゼ周辺の広い敷地には、コンピュー
   タや半導体関係の電子工場が並んでいて、シリコンバレーと呼ばれている。( 下地図&写真参照 ) 
   現在は工場よりも、研究機関が中心である。
    バレーといっても渓谷ではなく、広大な平地である。 集積回路( IC )の基板になる半導体の原料にシリ
   コンが使われているので、この名がつけられた。
    シリコンバレーは、もともと農業中心の土地だったが、1960年代、スタンフォード大学やカリフォルニア
   大学バークレー校がIBMなどの企業と協力して、ICなどの半導体を研究開発してその基礎が築かれた。
   長さ50Km、幅15Kmほどのエリアに、インテル社、アップルコンピュータ社、IBM研究所などがある。

 

 

 

   

 

← 左右写真 →
 IC工場の無菌室
 
 ここが、世界のハイ
テク産業をリードして
きたが、最近は、日
本企業との競争が激
しくなった。
      
   工場では、IC製造の大敵、チリ、ホコリ、静電気
  などから完全防備するため、このような服装をして 
  いる。
 
 
 
 
  ↓ シリコンバレーのコンピュータ会社     シリコンバレー全景→

 

 

   1980年代後半から1990年代にかけて、ケンタッキー州やテネシー州には、アメリカや日本の
  自動車会社が工場を作り、サンベルトと五大湖周辺の中間にあたる地域の経済が活発になった。
  テネシー州には日産が、ケンタッキー州( レキシントン郊外 )にはトヨタが北米拠点となる工場を 
  建てた。

 

太平洋岸北部
    ・ シアトル   ワシントン州の都市。  航空機・造船工業がさかんである。  シアトルは、ボーイング社とそ
           の系列会社の企業城下町になっている。