非正社員の増加

    正社員     非正社員( パート、アルバイト、派遣・契約社員 )
 雇用が安定している。  技能が蓄積しやすい。
 福利厚生が充実している。
 
 なかなか休めない。
 転勤や出張を求められることが多い。
 
 働く時間・場所を選びやすい。 しばられにくい。
 いろんな仕事を選びやすい。
 
 雇用が不安定になりがちで、低賃金である。
 技能を蓄積しにくい。
 福利厚生は充実していない。

 

 

【非正社員増加の背景】

 近年、正社員が減り、雇用期間を限った臨時の非定型雇用の労働者が増えている。 
 
 増えた理由は、1990年代初めのバブル経済崩壊がきっかけとなり、正社員をリストラして、低賃金のパートや
派遣社員に置き換えたからと、好きな時間だけ働くことを希望する人が増えたこともある。
  ☆ 非定型雇用 ――― 非正規労働者、非正社員のこと。 さまざまな条件や待遇によって分かれ、
               @パートタイマー( 働く時間が短い )、Aアルバイト( 臨時に雇われる )、B派遣労働者、などがある。

 
                 正社員と非正社員の数の推移 ⇒
 

< 最新情報 >  正社員と非正規労働者の割合  非正規社員が4割超える!

  1985年 2006年 2010年 2014年
正社員  83.6  66.8  65.6  59.5
非正規労働者  16.4  33.2  34.4  40.5

 

  派遣労働とは?

    派遣労働は、派遣元の派遣会社と労働契約を結び、賃金は派遣会社から支払われる。 働く場所は派遣先の会社で、そこの指揮命令に従うことに
   なる。 本来、使用者は自分が雇っている人を他人に供給することは、不当な中間搾取を招くとして職業安定法で禁じられているが、派遣労働は例外
   として認められている。

 

  Q 会社がパートタイマーや派遣社員を雇う理由は?

   ・ 人件費の削減のため( =正社員に比べて賃金は安くてすみ、社会保障費も軽減できる )
   ・ 景気に応じて雇用量を簡単に調整することができるから
      ( 仕事の多い時・少ない時に、効率よく対応できる。 正社員は一度雇うとなかなかやめさせにくい。 ) 
   ・ 能力のある人を確保するため  ★ 派遣社員を雇う理由である

        

 Q 労働者が非正社員としての働き方を選ぶ理由は?

   ・ 好きな時間だけ働くことを希望しているから 
       ( ⇒ 主婦や学生が選択する理由 / = 育児・家事・介護・勉強と両立できるから )
   ・ 会社に拘束される不自由さを避けられる。 働きたい仕事が選べる、勤務時間などの労働
   ・ 家計の補助や学費を得たいから ( ⇒ 主婦や学生が選択する理由 )
  また、見逃せないのは…、
   ・ 就職先が見つからない若者が正社員として働けず、しかたなく ―― 非正社員になっている場合も多い。
      ★ 非正規労働者の19.2%は正社員を望んでいるが、職が見つかっていない。 25〜34歳に限れば30.3%となっている。( 2013年 )
 かつて、非正社員は、主に主婦のパートやアルバイトで、低賃金もあまり問題にならなかった。 しかし、バブル崩壊後、企業が採用を控えたことで、就職先が
見つからない若者が非正社員として働くケースが多くなった。 正社員になれず、家計を担う世帯主が非正社員という例も珍しくない。
 SOHO( small office home office/ソーホー )と呼ばれる自宅勤務の労働形態が増えているのも最近の特徴である。

  

 また、最近は、フルタイムで働く正社員より短い労働時間で、賃金や社会保険で原則同じような処遇が受けられ
る短時間正社員が広がっている。4時間正社員や全社員6時間労働を打ち出す企業もある。
 余った時間を使って増やした知識や経験を会社に還元して、自らにもフィードバックしてほしいと採用した会社の
社長は語る。 助け合いながら働くノウハウも現場から生まれているようだ。
 

 

【非正社員増加に伴う問題点】

@ 日本では、正社員に比べ、非正社員は賃金などの待遇が極端に低い。 働いても生活保護以下の暮らししか
 できないワーキングプアの拡大にもつながっている。
   ☆ ワーキングプア ――― 仕事があっても貧しい生活を強いられる人のこと。働いているのに、生活保護を
                  受けるよりも水準の低いくらししかできない人を指すことが多い。

 

A 非正社員の仕事への満足感は正社員に比べて低い。 正社員から非正社員に切り替えれば、経費を減らす
 には有効かもしれないが、スタッフの能力が高まらず、会社の生産性は上がらない。 製造業では、技術の継
 承ができなくなり、製品の質が落ちる心配も出ている。

 

  派遣社員だと、正社員から名前を覚えてもらえなかったり、社員食堂は正社員の2倍の値段にされ
 たり・・・。 女性の場合は 「 派遣35歳定年説 」 という言葉もあり、そこでがくっと仕事が減る。 派遣
 はかわいくて、口答えしなければいい、という採用側の思惑が透けて見える。

 

  決まった住まいがなく、インターネットカフェやまんが喫茶で寝泊りする人々を「 ネットカフェ難民 」
 いう。 厚生労働省の調べでは、2007年に全国で約5400人いることがわかった。 非正社員が
 約2700人、失業者が1300人、仕事を探していない無職900人、正社員もいた。 年代では20代
   が27%、次に50代の23%と多かった。この二つの年代層はアルバイトで働く人が多く、失業率も
   高いことがわかっている。
    東京都はネットカフェ難民の自立支援を行っている。 相談窓口を作り、仕事を紹介したり、住まい
   を借りるための資金を貸し付けたりしている。 ホームレス支援施設や生活保護を受けたりした人も
   いる。

 

 

【労働法制も非正社員を活用しやすいように】

   1993年 ――― パートタイム労働法が制定される。
  ( 内容 )  パート労働者の雇用条件を改善する

 

 派遣労働者は派遣元企業との間に労働契約関係を有するが、派遣先企業も労働基準法・最低賃金法の規定の順守義務を負っている。 
 経済界の要請もあり、労働法制は非正社員を活用しやすいように変わってきた。

 

     1986年 … 労働者派遣法が施行される。 

   ( 内容 ) 賃金の中間搾取を防ぐため労働者供給事業を禁止してきたが、13業務については派遣を認める。

 

 <1999年の改正>
   これまで専門的な仕事に限定されていた派遣対象業務が( 製造業を除き )、原則自由化される。 ここから、労働の商品化が急速に進んでいった。 
 <2004年の改正>
   製造業への派遣も解禁され、港湾運送、建設、警備などを除くほとんどの職種で派遣社員を導入することが認められる。 製造業以外は、派遣期間が
  1年から3年に拡大される。 3年を超えてその人に仕事をしてほしいなら、会社で正社員として雇う必要がある。 
     ※ 労働者派遣法の対象業務拡大は、非正社員がめざす正社員のイスが少なくなるだけである。  
 <2007年の改正>
   製造業の派遣期間が1年から3年に拡大される。   ※ ただし、専門性の高いソフトウェア開発や通訳、秘書など専門26業務は期間制限がない。
 <2012年の改正>
   30日以内の短期派遣が原則禁止され、日雇い派遣ができなくなった。  
       ( 注 ) 60歳以上の高齢者、世帯収入500万円以上の妻や子どもは例外として日雇い派遣が認められる。
    ★ 日雇い派遣禁止の背景は、雇うのは派遣元、指揮命令は派遣先なので、雇用管理がおろそかになりがちなことがあった。 教育が不十分で労働
     災害が起きやすいことも問題視された。 人材派遣会社は、派遣から紹介事業に移行することになる。 日々紹介という方法ならば、紹介先が雇用
     主で給料も紹介先が直接払い、雇用と指揮命令の関係が一致するので、このような日雇い就労は禁止されていない。。

 

    派遣で働くといっても ・・

     派遣期間には制限があり、1つの職場で働けるのは原則1年までで、その間も1〜3ヵ月ごとに契約の更新が必要 となる。 派遣先が労働
 組合の意見を聞けば最長3年まで働くことができる。 期限を超えると、その仕事自体を派遣社員に任せることはできなくなり、3年を超えても
 同じ人に仕事をしてほしいなら、直接雇用する必要がある。 正社員の仕事が安易に派遣社員に置き換わるのを防ぐのが狙いである。

 

 <2015年の改正> 
   ★ 同じ派遣先の職場で働ける上限を3年に! … 働き手を代えれば、企業はずっと派遣社員に仕事をまかせることが可能になる = 企業は派遣社員
    を使いやすくなった。  
      ※ ( 派遣の4割が働いているとされる )専門26業務も含まれ、規制の対象が「業務」から「人」に変わった。 
        派遣労働者はどんな業務に就いても、3年ごとに職場を変えなくてはいけなくなった。
   ★ 雇用安定措置を義務化   
      3年働いたら派遣会社に、@派遣先に直接雇用を依頼する、A派遣会社で無期雇用、B新しい派遣先を紹介、を義務づけること。
      ☆ @の場合、依頼するのは義務だが、派遣先は断ることができるので、依頼だけで終わる可能性が高い、Aの場合、負担が重く可能性が低い、
      Bの場合、エンジニアに清掃業を紹介するなど、望まない仕事だったらどうなるのか?という心配がある。
      ☆ 政府は派遣社員の待遇を改善し正社員化への道を開くためというが、●労働者が取り替えられるだけで直接雇用につながらないのでは? 
      ●雇い止め(契約期間の切れ目でやめてもらう)が心配だ、●正社員の仕事が派遣に置き換わっていく 恐れがある、などの反対意見がある。
   ★ 正社員へのステップとして、派遣会社に派遣労働者への教育訓練・研修を義務づける。

 

 

【非正社員の待遇改善】

   2008年4月 … 改正パート労働法が施行される。
 ( 内容 ) ・ 正社員並みパートについて、賃金や教育訓練などあらゆる待遇を正社員と同じにする義務を企業
        に課す。 パートの人が待遇について説明を求めたら、詳しく説明する義務も負わせた。
   ※ 正社員並みパート ―― 正社員と仕事の内容が同じで、転勤や配置転換も正社員並みにするが、期間
               の定めがない雇用契約で働くパート。 厚労省は、全パートの4〜5%にあたるという。
   ( 注 ) 正社員と同じかそれ以上の時間働く有期契約の社員は、今回の法律の対象外である。

    非正社員の年休は?

  パートや派遣などの非正社員でも、年次有給休暇( 年休 )を請求する権利はある。 法律上、「 6ヵ
 月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤 」 していれば、年休をとることができる。 パートでも、
 週30時間以上または週5日以上と、正社員に近い時間働いている人ならば、正社員と同じ日数の
 年休がとれる。

 

   2013年4月 … 改正労働契約者法が施行される。
  ( 主な改正点 ) ・ 有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申込みにより、期間
            を定めない定年まで働ける労働契約( 無期労働契約 )に切り換える権利が与えられる。 
     ※ 自動的に無期雇用になるわけではなく、自分で「無期に転換したい」と申し込まなければならない。
      申し込まなければ次の契約更新後も有期契約が続く。
     ※ 正社員になれることを意味するものではないので、無期に転換しても賃金や手当てが変わらない可能
      性がある。 
 
            ・ 不合理な労働条件の禁止
        有期契約労働者と正社員との間に「有期だから」という理由で労働条件に差を設けることを禁じた。
        賃金や労働時間だけでなく、働く上での教育、訓練や福利厚生まで幅広く対象とされる。 例として
       「通勤手当」「食堂の利用」「安全管理」などである。

 

 この法改正は、会社側が5年よりも前の時点で契約を更新しない「雇い止め」を乱発するのではないかという
心配もある。 また、5年超の期間中、6ヵ月以上働いていない期間があると「空白期間」(クーリング) とみなされ
る。 無期雇用に変わるには新たに5年超の期間が必要になる。 クーリングを繰り返せば会社側は働く人をずっ
と有期で使えることになる。