熱帯雨林の消失  砂漠化 

 

 陸地の約30%を森林がおおう。 赤道に沿って広がる熱帯雨林は、世界の森林の40%を占める。
 中でも、南アメリカのアマゾン川流域には、世界最大の熱帯雨林があるが、過去50年で5分の1が消失した。 
森林面積が減少している国の上位は、ブラジルをトップに、インドネシア、スーダン、ミャンマーなどが並ぶ。

 

 

 熱帯雨林は、毎年520万ha( =東京都の約25倍 )が減少している( 2010年 )。 これは植林した分を差し引
いた数字で、もし植林がなかったとすると、毎年1300万ha( =東京都の約60倍 )のペースで森林がなくなる。 

 

 

【森林の減少が止まらないと…森林の役割】

 

@ 地球の温暖化が進んでしまう … 森林は、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出している。
A 異常気象が増える
    … 森林は土にしみこんだ水を吸い上げ、葉から蒸発させて大気に戻している。森林がなくなると、この循
     環が崩れ、森林の減少は地球全体の大気の流れにも影響して、異常気象を増やす恐れがある。
B 生き物の絶滅が加速しそう
    … 森林にはたくさんの生き物が生息している。森林が減ったため、生き物はすみかを失い、絶滅に追い
     込まれている。 森林減少が止まらないと、絶滅スピードが速まり、生態系が崩れていく。
C 土砂崩れや洪水などの災害が増える

 

 

 

【熱帯雨林減少の要因】

 

 人口増加  → それに伴う焼き畑( =農地拡大 )・過耕作・住宅建設のための伐採
   人口増加で食料や燃料を確保するために、森林は農地や牧草地に変わり、木が伐採された。

 

   焼き畑とは、森林を刈り払い、倒した樹木や草本などを燃や
  して肥料としながら作物を栽培する農業である。 数年間、そ
  の畑を使った後、肥料分がなくなると別の場所に移動する。 
  放棄された耕作地は、他の土地を焼き畑・耕作している間に
  植生が回復し、再び焼畑として利用できるようになる。 しか
  し、植生の回復には10〜20年以上を必要とする。 人口増
  加で休閑期間を短縮し、土地養分が復元する前に、またそこ
  を耕作してしまうということになり、だんだん土地が痩せ、農耕
  地としても適さなくなり、砂漠化の原因になっている。


 

↓→ 写真
 サヘル地帯での家畜の過放牧
 家畜は草地の再生能力を超えるほど草を食べ尽くす。 過放牧砂漠化をさらに進行させた。 砂漠化が最も
深刻な問題となっているのがアフリカのサヘル地域で、ここでは、6月〜9月までに1年分の雨が降る。 それ以
外の7ヶ月はほとんど雨が降らない。 雨期が4ヶ月、乾期が7ヶ月であり、その乾期の間に植物が生育する以上
のスピードで動物が食べてしまい、植生はどんどん劣化する。
 過耕作・過放牧は、土壌侵食・表土流出をもたらす。表土は栄養分のある土だが、その下の地盤は、栄養分が
ないアルカリ性の土である。
 さらに、人口増加のため薪の過剰採取も砂漠化の原因になっている。 薪の材料として木を切り過ぎれば、森
林は破壊され、砂漠化する。

         

   マリ共和国では、薪の代りにバイオガスを使う試みが広がっている。 家畜のふんに水を入れて発酵
  させるとメタンガスが発生する。 そのメタンガスを調理などに使っている。 これがバイオガスで、木を
  切らなくてもすむ。

 

  南部アフリカでは乾期の7〜9月に大規模な森林火災が集中するが、ほとんどが放火か失火だという。  
 焼畑の拡大(食料自給が困難な状況下で火をつけて畑を広げる場合も)や密漁での動物囲い込み、さらに
 木炭を生産する目的などで頻繁に森に火が放たれている。
   ※ 1990年〜2000年にかけて起きた森林消失面積の45%がアフリカ。 熱帯雨林よりも、南緯
    5〜20度に分布するミオンボ林という乾燥林が多い。

 

 先進国の商業用材の伐採
    先進国の人たちが使う紙や木材の量が増えるにつれて、熱帯雨林などの森林はどんどん切られていく。 
    日本も、国内に森林があるが、発展途上国から安い木材を輸入し、使い捨てしている。 東南アジアのラ
   ワンなどの南洋材は日本に輸出されている。 日本の商社は、フィリピンの森林を伐採しつくした後、インド
   ネシア、マレーシアへと相手を変え、東南アジアの熱帯雨林を食いつぶしてきた。

 

 開発
    ハンバーガーや牛肉のねだんを10円安くするために、放牧地を得るため広大なアマゾンの森林が燃やさ
   れ、えびの養殖のためにタイやマレーシアのマングローブ林が破壊されている。 先進国の大企業によるコ
   ーヒー、バナナなどの栽培や、工場やダム建設、リゾート地などの巨大開発も、森林破壊の大きな原因だ。

 

 熱帯雨林破壊の要因としては以上のものがあるが、その背景には、貧困と人口増大などがある。 貧しい農
民にとっては過耕作・過放牧を行う以外の選択肢はないのである。

 

森を追われる 「 森の人 」

 オランウータンとは、マレー語で 「 森の人 」 を意味  
する。 
 その言葉通り、オランウータンは森以外では暮らせず、
存在自体が豊かな森林を象徴している。 アジアで唯一の
大型類人猿で、ドリアン、マンゴーなどの果物を好んで食
べ、樹上を移動しながら広い範囲で生活する。 母親の子
育ての期間を除き、家族や集団ではほとんど生活しない。
 ボルネオ島とスマトラ島だけに生息するが絶滅の危機に
あり 『 20年後絶滅 』 説もある。 過去100年間にマレー
シアとインドネシアで森林の80%が消滅し、オランウータ
ンは90%減少した。 森林面積は、伐採( 油ヤシを植える場所を
確保するため、など )と焼き畑が原因で減少している。 また、オ
ランウータンはワシントン条約で商業取引が禁止されているが、
密漁によっても数が減っている。 オランウータンの子どもはアジ
ア各国でペットとして人気が高い。 大人は人間並の体格になる
ので本来ペットには不向きである。 成長すると殺されるか、動物
園などに売られる運命だという。  
 森林伐採や密漁で母親を失うオランウータンの孤児が後をたた
ない。 オランウータンは5、6歳まで母親からじっくり食料の採り
方・木の登り方など森で暮らす多くの知識を教わる。 人間の子ど
も並みの教育が必要で、孤児を対象に野生に戻すための学校の
役割を果たすリハビリテーションセンターがある。

 


【砂漠化をめぐる世界の取り組み】

 熱帯雨林の破壊は砂漠化に影響を与える。
 砂漠化の原因は、@降水量の減少や気候変動などの自然的な要因、もあるが、A過放牧、B薪の過剰伐採
C土壌の塩性化( =塩害 )などがある。

 

 過剰なかんがいは、かんがい用水や土壌の中に含まれる塩分が地表近くにたまってしまい、土壌の塩性化が
進む。 かんがい用水は地中の塩分を溶かして浸透する。 この塩分濃度の高い水が毛管現象( =吸い取り紙
がインクを吸い上げる )によって地表に吸い上げられる。 乾燥地域ではこの水分がすぐ蒸発し、塩分だけが残
り、地表近くに塩分がたまり、不毛の地となってしまうのだ。

 中央アジアのアラル海  ―――  世界第4位の湖は塩の砂漠へ

                      右写真 →
        干ばつのため放置された漁船( アラル海で )
 1950年代まで、アラル海は世界で第4番目の
大きさを誇る湖だった。 当時のソ連政府は、不毛
地帯だったアラル海周辺を綿花地帯に転換しよう
とした。 綿を作るには大量の水が必要なため、
アラル海に流れこむシルダリアとアムダリア川の
水を灌漑用水として利用した。
 初めのうちは計画通り、素晴らしい成果を上げる
ことができた。 しかし、綿花栽培を促進するため
の開発があまりにも大規模で無謀だったため、
川の水はアラル海に流れ込む前に使い尽くされてしまった。 
  アラル海は、1960年代に日本の東北地方くらいの水表面積があったが、2002年、岩手県くらいに縮小した。
水位も22m下がり、今も1年間に1mずつ低下している。 最近は夏の高温で、塩分濃度が上がり、太平洋の倍
の濃さになり、魚がほとんど生きられない 「 死の湖 」 となった。 湖面だったところが塩の砂漠に変化した所も多
く、アラル海流域の漁業は壊滅し、漁民はアラル海から去って行った。

 

 

   1977年 ――― 国連砂漠化防止会議が開かれる。
 アフリカ・サヘル地方の大干ばつがきっかけとなった。
 1992年の地球サミットでアフリカの発展途上国からの強い要望で、砂漠化対処条約に向けた準備を始めるこ
とになった。
   1994年 ――― 砂漠化防止条約が採択される。 ( 2004年現在 190ヵ国が参加 )
 日本は、アフリカや中国、モンゴルで砂漠化の調査をしたり、植林の技術を伝えたり、お金を出したりしている。

 

「 もったいない 」

 ケニアの環境保護運動家で副環境大臣のワンガリ・マータイさんは、2004年のノーベ
ル平和賞を受賞した。 環境分野、アフリカ人女性の平和賞受賞はいずれも初めてだ。
 マータイさんは、1971年にケニアのナイロビ大学で、東アフリカ出身の女性として初め
ての博士号をとった。 1977年、グリーンベルト運動を作り、最も弱い立場にある農村
の女性たちに参加を呼びかけた。 マータイさんの活動は森林をもとに戻すための植林
が中心だが、それだけではない。 木を育てることを通じて貧しい人々が社会に参加する
という意識を高め、人々が生活や社会を自分の力で変えていけるように力をつくした。 
マータイさんは、ケニアで独裁政治を展開したモイ大統領に弾圧され、何度も逮捕された
ことがある。 マータイさんは、2005年2月、京都議定書の発効に伴う式典に参加し、講演を行った。 
 日本での講演でマータイさんは、日本語の 「 もったいない 」 という言葉に心を動かされたという。 地球環境の
大切さを訴えるのにこれ以上の言葉はないと言った。 電気をつけっぱなしにしたり、衣服を粗末にしたり、時間
を浪費したり ――― 暮らしのさまざまな面でのムダをいましめた言葉である。 天然資源を大切に使い、世界の
人々と平等に分け合っていくことを活動方針に掲げるマータイさんは、日本語の 「 もったいない 」 にそれらの価
値観が込められていることに驚いたようだ。