オゾン層の破壊
       TERUO MATSUBARA

 

 「オゾン層」とは、地上20〜30kmの空、「成層圏」にあるうすい層。 たったの3ミリの厚さだが、地球をすっぽ
りおおい、有害な 「 紫外線B 」 という光線から、動植物を守ってくれる。 この大切なバリア、オゾン層が最近
破壊されている。 

 

 身近なところにあるオゾン

 光化学スモッグの原因はオゾンだ。 工場や自動車から出る窒素酸化物や炭化水素が太陽の紫外線で化学
反応を起こすと、オゾンなどの有害物質が発生する。 これらが大気中に浮かび、もやのような状態になるのが
光化学スモッグである。 ひどいと目がチクチクしたり、のどが痛くなったりする。
 オゾンそのものは生き物に有害な物質で独特の刺激臭があるが、酸化力が強く、殺菌などに効果があり、こう
した力が身の回りでも利用されている。
 水道水のカビ臭さを取り除くのにオゾンを利用している。 オゾンの泡を水に放出して、カビ臭さのもとを分解し
ている。 オゾン水には、手を殺菌したり、野菜などを洗ったりするのに使われている。 また、水を使わずにオ
ゾンで衣類の雑菌を除いたり、いやな臭いを消したりする洗濯機も登場した。

 

Q オゾン層はどうやってできたか?

 46億年前に地球が生まれた頃は、太陽から紫外線が直接地上にふりそそいでいた。 そのため、生物は紫
外線の届かない海の中でしか暮らせなかった。
 地球では、今から4億年前にシダ類や植物が陸の上にあらわれはじめた。 それまでの地球のまわりは、
98%が炭酸ガスにおおわれていて、酸素がほとんどなかった。 小さな生きものが32億年もの長い間、炭酸
ガスを酸素に変える仕事(光合成)をくりかえした。 そして、酸素からオゾン層ができて、紫外線をカットしてくれ
るようになったので、生物は海の中から地上にあがれるようになった。 有害紫外線から地球を守っているオゾ
ン層がなくなってしまうと、生き物は陸上では生きることができなくなってしまう。 
 オゾンも酸素も同じ酸素原子が集まってできている。 ただ集まっている数がちがい、酸素は酸素原子が2つ、
オゾンは酸素原子が3つ集まってできている。

 


 

 

Q オゾン層はなぜ破壊されている?

 オゾン層を破壊しているのは、人間が作りだしているフロンという化学物質である。 
 フロンガスは、エアコンや冷蔵庫・ジュースなどの自動販売機の「冷媒」として使われたり、精密機器・半導体を
洗う洗浄剤、スプレーの噴霧剤として使われている。 この古くから使われてきたフロンガスは、特定フロン
( CFC / クロロフルオロカーボン )と呼ばれ、オゾン層へのダメージが大きな物質で 、空気中に放出されても
形がこわれてバラバラにならない。 15年かかってゆっくり上空( 大気圏 ) までのぼっていき、紫外線が当たると
塩素原子を放出し、この塩素原子がオゾン層の酸素と結合してオゾンが破壊されるのである。

 

 南極上空のオゾンホールは、1980年代半ばに確認され、だんだん大きくなってきている。  オゾンホールは
主に南極で見られるが、北極でも時々見られる。 オゾンホールが過去最大となったのは、2000年で南極大陸
の2倍以上の大きさがあった。

 

Q オゾン層が破壊されると、どのような影響がでるか?

 オゾン層が破壊されると、地球に届く紫外線の量が増える。 オゾン層が10%壊れると、有害な紫外線の量が
20%増える。 このことによる影響を考えてみよう。
 @ 人体への影響  
       皮膚ガン白内障( 目の水晶体という部分がにごって視力が衰える病気 ) を引き起こしたりする。 
 A 動植物への影響 
       海の生態系を支える海面近くの植物プランクトンが減り、海の生きものが食べるえさがなくなるので、
      魚の数が減る。 また、農作物が育たなくなり、食料不足が起こる。 特に、コメは紫外線の影響を受
      けやすく、オゾン層が1割壊れると、収穫量が3/4 〜 2/3まで減るという研究結果もある。 
 B 気候への影響
       オゾン層がある成層圏の大気が変化し、限られた地域で大雨になったり、台風が大きくなったり、
      日照りが続く地域も出てくる。

 

 南極のオゾンホールは大きくなり続け、2000年には過去最大を記
録した。 そして皮膚ガンや失明、白内症などの影響が、オーストラリ
アやチリで増えてきていて、オーストラリアでは今後、皮膚ガンの発生
率が3人に2人になるという予測もある。
 南極に近いオーストラリアでは、帽子やサングラス、日焼け止めクリ
ームで日焼けを防止している。
      サングラスも制服の一部である  右写真 →

 

 

Q オゾン層破壊に対する取り組みは?

       1985年 ―― ウィーン条約が結ばれる。
    ( 内容 )  オゾン層を保護するための条約である。
 現在、フロンを使うことは禁止されていて、フロンのなかにあるオゾン層を壊す原因の「塩素化合物」という物質
は、「成層圏」のなかではわずかだが減少している。 
 
   1987年 ―― モントリオール議定書( 1989年発効 ) が採択される。
    ( 内容 ) オゾン層を破壊する物質の削減計画など定めた…特定フロンを10年で50%削減する。
   1990年 ―― モントリオール議定書第2回締約国会合で、特定フロンを2000年までに全廃することが決
           まる。
  特定フロンは、オゾン層への影響力がより少ない代替フロン( HCFC )へと置き換えられていった。  日本で
 も、冷蔵庫やクーラーからのフロン回収を義務づけた。
 

    代替フロンとは?

   オゾン層を破壊するフロンの代わりとして、ハイドロクロロフルオロカーボン( HCFC )やハイドロフルオロ
  カーボン( HFC )が登場した。 これらは、オゾンを破壊する塩素を含まないもので、代替フロンと呼ばれ 、
  半導体の製造過程や冷蔵庫などに用いられている。
   1980年代後半から使われたHCFCは、オゾン破壊力がフロンの10分の1から100分の1ほどである。
  それより新しいHFCにはオゾンを破壊する力はないが、二酸化炭素の15000倍もの温暖化作用があるた
  め、1997年12月の地球温暖化防止京都会議で削減の対象になった。

 

   1992年 ―― モントリオール議定書第4回締約国会合が行われる。
    ( 決定事項 )  1995年までに、先進国のフロンの生産を全廃する。
              代替フロン( HCFC )を2020年までに全廃する。
      ※ 途上国は、2040年にやめることを約束したが、2007年に、やめる時期を10年早めて2030年と することで合意した。

 

 こうした取り組みの結果、2000年以降はオゾン層の減少傾向はみられなくなり、このままなら2050年までに1980年の水準に回復できるという。 ( 2013年予想 )