円高と円安  (4)
円高・円安の影響
           TERUO MATSUBARA

   

円高になると 生活にどんな影響が出るの?

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円高のメリット

 ● 輸入品が安く買える ( 輸入が増える )   ブランド品も安く買える   ⇒  物価の安定

    原油の値段が下がることで、電気代・ガソリン代が下がったりする。  物価全体が下がる傾向になり、
   国内の物価は安定する。 

 

    1ドル=250円 → 1ドル=200円 の円高になったとする。 
    アメリカから、1ドルの商品を買った場合、日本円で50円支払いが少なくてすむ。              

● 海外旅行は安く行ける。

    1ドル=250円 → 1ドル=200円 の円高になったとする。 
    ハワイ旅行費用400ドルを得るためには何円用意しなければいけないかを考えよう。 円高の前後で、 
  100,000円 → 80,000円となる。 円高の時の方が、日本円に換算して安く海外旅行が行ける。

 

【円高のデメリット】

● 輸出産業は打撃をうける。  製品の売上は減り、海外で商品が売れなくなる。 

   日本の輸出会社が、アメリカに商品を売って1億ドルの代金を受け取った場合を考える。
     1ドル=200円 → 1ドル= 199円の円高になったとする。 
   ドルを円にかえる場合、変化の前後で輸出代金( 円 )の差額を計算すると、
    ( 1億× 200 )−( 1億× 199 ) = 1億 × ( 200 − 199 ) = 1億 
   すなわち、1ドルにつき1円の円高でも、この会社は売上金を日本円に換算した場合、1億円の損失が
  出たことになる。
 
      1ドル= 250円 → 1ドル= 200円になったとする。 
   1000円の商品を日本から輸出した場合、アメリカでは円高の前後で支払うドルは、4ドル → 5ドル と
  高くなる。 つまり、日本製品の値段が高くなるので、アメリカでは売れなくなる。
   1980年代後半、円高による不況が日本経済を直撃した時、日本の輸出企業は現地生産を急いだ。 
  最初からアメリカで生産すれば円高の影響は受けない。 日本のメーカーの海外進出の傾向はここから
  始まった。

 

● 輸入品の価格が下がるので、輸入品と同じような製品を作っている会社は打撃を受ける。

 

● 対外投資コストは割安になるので、日本企業の海外進出が増え、対外直接投資が増大する。

    1ドル=200円 → 1ドル=100円 の円高になったとする。 
    海外に1億ドルの工場を建設するのに必要な直接投資の額は、200億円から100億円に半減する。 

  ( これをデメリットにしたのは・・・ ) 産業の空洞化をまねく → 働く場所がなくなる 

   輸出会社は、円高をのりきるため、海外に工場を設立し、現地生産を行う。 例えば、アメリカ国内で
    生産すれば、為替変動の影響を受けないからだ。 そうなると、下請けの部品工場などもいっしょにアメ
  リカに移っていったり、産業によっては、賃金が安い東南アジアに工場を移す会社も増えてくる。 
   このように、日本国内で生産する会社や工場がなくなり、日本の労働者の働く場所が失われていく現
  象( 企業の生産拠点海外移転と国内雇用が縮小する現象 ) を 産業の空洞化 といい、日本国内の
  産業の規模がどんどん小さくなり、国内の経済力はどんどん落ちて行ってしまう。 

● 外貨預金をした人は損をする。 

     1ドル= 250円 → 1ドル= 200円になったとする。 
   10万円を1ドル=250円の時に外貨預金したとする。 預金通帳には、400ドル(10万÷250 )と記録
  される。 この預金を円高が進んだ1ドル= 200円の時に引き出すと、日本円で8万円にしかならない
  ( 400ドル×200 )。 元本割れで円高傾向になれば、外貨預金をしている人は損をする。

 

 このように、日本は貿易黒字の国 ( =輸出に強い国 )だから、日本にとっては輸出に有利な円安の方が望ま
しい。  また輸入品に比べ日本製品の価格が高くなってしまうので、日本製品が売れなくなるという心配もある。 
そこで、輸入品価格に合わせて日本製品の価格も下げたら、日本製品を作ったり、売ったりしている会社は利益
が小さくなる。 しかし、個人の消費者の立場に立つと、円高が進めば海外からの輸入品が安く手に入り、物価も
下がり、安いお金で海外旅行や海外での買い物ができるようになり、得をする面もある。

 

 

円安になると 生活にどんな影響が出るの?  

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【円安のメリット】

● 輸出産業は有利で、日本からの輸出は増える。 

   1ドル=100円 の時、日本で200万円の車は、アメリカでは 2万ドルである。 1ドル= 200円 と円安
  になると、1万ドルになる。 日本では 200万円の車というように価格が変わらなくても、円安になると、アメ 
  リカでは価格が下がる。 こうなると、たくさん売れて、日本からの輸出が増える。 

● 外貨預金をしている人は得をする。

 

【円安のデメリット】

● 輸入品の価格が値上がりする。 原油の値上がりは、電気・ガス代の値上げにつながる。

● 海外旅行の費用は高くなる。 ブランド品も高くなる。 

     1ドル=80円( 1995年 ) → 1ドル=140円( 1998年 )  
   この間、海外旅行の費用は高くなり、高級ブランド品も安く買えなくなった。 1万円をドルと 交換した場合、
  それぞれ、何ドルもらえるかを考えてみよう。 円高の方が得であることはわかるはず。

  

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