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学長メッセージ

入学式式辞(平成29年度)

式辞(平成29年度)

 平成29年度入学式にあたり、お祝いの言葉を申し述べます。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私ども本学関係者一同、この日を心待ちにしておりました。今日からは本学の一員として、本学の持っている機能や特質を使い尽くすつもりで、受け身ではなく、意欲的に学生時代を過ごしていただきたいと思います。

 さて、今年の冬は近年では特に寒かったように思います。日本の真冬の時期は南半球は真夏で、日本人がスキーを楽しんでいるときにオーストラリアでは人々は海水浴に興じているそうです。そしてオーストラリアから多くのスキー客が雪を求めて日本を訪れます。彼らが雪ばかりでなく日本人の優しさにも満足して帰ってゆくという話を聞くと、心がなごみます。
 冬が過ぎて、今や桜の季節です。桜は一輪の花びらを見ても美しいものですが、桜の並木や木立の全体が花に覆われているのを見ると心が浮き立ちます。いっそ山や林の全体が桜であればどんなに美しいだろうと思わないではいられません。
 しかしながら、毎年、秋になると、まったく同じことをもみじについて思うことになります。「全山紅葉して」の言葉通り、山がもみじに覆われて、山全体が燃え上がるようであればどんなにいいだろうと思うのです。そのときに桜の花を思い出すことは稀です。
 山といえば、日本の山には鹿がたくさんいて、その穏やかな、愛らしい姿は日本人に親しまれ、日本画の主題としてもしばしば描かれます。鹿の優しさはどこかで日本人の心情に通じるものがあるのでしょう。
しかしながら、鹿が木の芽を食い荒らすため、日本の山林の多くが危機に瀕しているという話を聞きます。テレビなどで無残に枯れた木々の映像を見ると、なんとか鹿の数を減らして日本の山林を守らなければ、といった気分になります。
桜を見てもみじを思い出すのは難しく、鹿の愛らしさを見ながら山林保護に思いを馳せることは困難です。ある国が寒さに震えているその同じときに他の国が暑さにうだっている、ということは、理屈ではわかっていても、感覚的に受け入れることはたやすいことではありません。
 しかし、そこに大学教育の本質があると申し上げたいと思います。一つの事象を全く別の方向から同時に見ることのできる能力、あるいは両立不可能に思われる対立的価値観のどちらの側に立っても考察することのできる能力、それを在学中に身につけていただきたいと思います。俗に、互いに相容れないものを「水と油」などと言いますが、実際には、人間は水と油の双方を認め、双方から絶大な恩恵を受けています。その考え方、その立場こそ、人間社会の発展に最も大切なものなのです。

 本学は、情報を集め、集めた情報を分析し、独自の結論へ導くというプロセスをとりわけ重要な能力と位置付けていますが、世間の在り方を見ると、はじめに結論を想定して、そこに導くのに都合のいい情報を集めるという逆転の現象がしばしば見られます。それでは情報を集める意味がありません。皆さんは本学で、偏りのない豊富な情報から客観的な結論を導き出す訓練を受けることになります。
 社会は偏見に満ちています。問答無用とばかりにのっけから切り捨てられるものがあまりに多いのが現実です。自分とは異なる考え方や価値観を一方的に排撃するようでは社会は発展しません。矛盾したたくさんの要素を抱え込みながら人間の歴史が刻まれてきたことに思いを致し、それぞれの要素や価値観への知識と共感を持つことが求められます。しかし、それは容易なことではありません。受け身ではなく、意欲的な問題意識をもって、これからの大学生活を切り拓いていっていただきたいと思います。

 本学で培われた能力は、皆さんが将来どのような方向に進もうと、社会の発展に寄与するばかりでなく、必ず皆さん自身の役に立ち、皆さんを支えてくれるものです。それを願い、信じればこそ、本学教職員は本学の教育と運営にあたっているのです。
 その意味から、本日皆さんを私たちの仲間にお迎えしたことに限りない喜びを感じ、また、それを可能にしてくださったご家族の方々に深い感謝の意を表します。

 これをもって式辞といたします。

平成29年4月1日

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 入江和生

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