入学式式辞
入学式式辞(令和4年度)
本日、令和4年度、共立女子大学大学院、共立女子大学、共立女子短期大学の入学式を執り行えますことは、コロナ禍の制限された形とは言え、学長としてこの上のない喜びです。
今年度、本学には、大学5学部1408名、短大2科135名、大学院には4研究科14名、計1557名の学生、院生が入学しました。
新入生の皆さん、そしてご臨席賜りました保護者、ご家族の皆さま、オンラインでご視聴の皆さま、ご入学誠におめでとうございます。
入学に向けて勉学に一生懸命、取り組んでこられた入学生の皆さんの努力に敬意を表すると同時に、暖かい愛情をもって入学生の皆さんを支えてこられた保護者・ご家族の皆様にもお祝いと感謝の意を表したいと存じます。
新入生の皆さんは、これから大学、短期大学、あるいは大学院で学ばれるうえで、それぞれに期待と希望があると思いますが、一人ひとりのかけがえの無い「志」を実現するべく、一層の努力をして頂きたいと思います。本学の教職員一同、皆さん一人ひとりの「志」を実現するための手助けをするべく全力を尽くす所存です。
さて、2022年度入学生の皆さん方に特記すべきことがらを3点申し述べたいと思います。まず、皆さんは成人として本学に入学する最初の学年となります。もうご存知のように明治9年以来定められていた成人年齢20歳が、この4月1日より18歳に引き下げられました。それによって携帯電話の購入やクレジットカード作成など親権に服さずに自分でできるようになります。
自立してできる権利が増えますが、それだけ自己責任が増すことを自覚して頂きたいと思います。もちろん喫煙・飲酒・公営ギャンブルは引き続き20歳まで禁止です。大学という自由な学びの場でありますが、社会との接点は高校までと違い極端に増えます。成年であると言う自覚を持って過ごしてください。
本学の特徴は、学生の皆さんが私達教職員から距離が近い指導と支援が受けられることです。学業のみならず学生生活全般について相談できる体制がありますので、ご安心ください。
2点目は、皆さん新入生から教養教育科目の「データサイエンスとICTの基礎」が全学年必修となることです。現代はAIやIoTに代表されるSociety5.0と言われます。そういう時代に対応する社会人基礎力の一つとして文理融合の情報リテラシーを養うのが目標となります。ICTは、information and communication technologyの略で、情報通信技術のことです。私が大学生の頃は友人に連絡するのに速達で手紙をかいたり、公衆電話を使ったりでしたが、皆さんはZ世代と言われるデジタルネイティブ世代ですので、当然のようにスマホを使い、インターネットによる情報の取得や伝達になれていると思います。
本学は、明治19年、1886年に、34名の人々によって共同で設立された共立女子職業学校にルーツを持ちます。建学の精神は「女性の社会的地位向上のための、自活の能力の習得と、自立した女性としての必要な教養の習得」とされました。当時の自活の能力は「読み、書き、そろばん」でしょうが、今は「新たな読み、書き、そろばん」としての情報リテラシーの習得が求められます。
新型コロナウイルス感染症は3年目となりますが、未だに収束の兆しはありません。その中で本学のデジタル環境は飛躍的に進みました。昨年度はkyoritsu My パソコン制度を始め、学生は自分のパソコンを持つようにしました。またkyoritsuDX推進プランで学内のデジタル環境を整備しました。
コロナ禍で、本学の特徴である対面による学生と教職員の距離の近い学びの重要性も再認識させられましたが、オンライン授業の大きな利点にも気づかされました。
3点目はリーダーシップ教育です。本学のいうリーダーシップとは、トップダウン型に上からメンバーを強く引っ張っていくものではなく、メンバーに寄り添い、メンバーを励まして皆と協働して何事にも前向きに取り組む姿勢をいいます。Society5.0では。情報リテラシーとともに人工知能AIでは代替できない能力、すなわち創造的な思考、非定型、多様な状況に対応できる能力がもとめられます。そのような能力の一つがリーダーシップです。
リーダーシップは誰でもが得ることのできる能力です。本学では今年度からリーダーシップ教育センターを設立し、学生の皆さんが卒業するときに共立リーダーシップが身についたと言えるように支援していきます。
先ほど述べました本学の建学の精神である「女性の自立と自活」の自立はリーダーシップ教育につながります。また、共立リーダーシップは校訓である「誠実・勤勉・友愛」の友愛と深く関連するものです。現代の分断の社会でこそ友愛の精神が生きてきます。
言うまでもなく、大学・短期大学での「学び」は、人からただ教えてもらうのではなく、自ら学ぶことにこそ本質があります。すなわち皆さんに期待される「学び」とは、「自ら課題をみつけ問題を解決できる能力を身に着けること」を通じて、「自立」し、「自活」する道を切り開く力をつけてもらう事です。
私たち教職員はそのために、入学後の正課教育、正課外教育において、主体的に学べる様々な仕組みを取り入れ、皆さんをサポートしていきます。社会連携活動やサークル活動などの正課外活動も本学がリーダーシップを育成するものとして重視するものです。正課外活動は制限された形ではありますが昨年より活発になっていますので積極的に取り組んでください。
本学の一ツ橋キャンパスは、皆さんが新たな価値を創造する場であると同時に、社会を生きぬくキャリア形成の場になるものと信じています。
最後に、皆さんが本学で、それぞれに楽しく主体的に学んで下さることを願ってやみません。
これをもって私の入学式の式辞といたします。
令和4年4月
共立女子大学 共立女子短期大学
学長 川久保 清