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様々な行事や発行物等を通して、本学の学長・川久保 清が発信してきた数々のメッセージ。
どうぞご高覧ください。


2023年度

伝統の女子大から持続可能性のある女子大へ―「リーダーシップの共立を掲げて」―

1.共立女子大学・短期大学の今


 本学は、大学6学部(8学科)収容定員4,980人、短大2学科収容定員400人の中規模女子総合大学である。大学院は4研究科(家政学研究科、文芸学研究科、国際学研究科、看護学研究科)、博士前期課程4専攻、修士課程3専攻、博士後期課程人間生活学専攻からなり、男子の入学も可能である。大学学部・短大科の構成は、開設の順に大学には家政学部⦅被服学科、食物栄養学科(食物学専攻・管理栄養士専攻)、児童学科⦆、文芸学部文芸学科、国際学部国際学科、看護学部看護学科、ビジネス学部ビジネス学科、建築・デザイン学部建築・デザイン学科、短大には生活科学科と文科があり、文系理系のある女子総合大学として、また神田集中化のあと神田一ツ橋キャンパスに集中したワンキャンパスで学べる環境と交通機関のアクセスの良さ(都営三田線神保町駅から徒歩1分)と面倒見の良さをアピールして学生募集をしている。
 本学は、明治19年(1886年)創設の共立女子職業学校に始まる。最初の校地は学士会館の裏の神田錦町であったが、翌年現在の2号館の地(図参照)に移転して以来、神田一ツ橋の地に校舎をかまえ拡大しながら現在に至っている。

2.本学の歴史

 本学本館(神田一ツ橋)前の学士会館は東京大学発祥の地とされ(神田錦町)、開成学校が明治元年(1868年)に作られ、洋学の教育がなされた。開成学校と文京区本郷に移転していた大学東校が一緒になって、明治10年(1878年)に東京大学が開設され、学士会館のある地が東京大学発祥の地、我が国の大学発祥の地と言われる。学士会館の斜め向かい側の学術総合センターのところには東京外国語学校発祥の地の石碑があり(1876年開設)、東京外国語大学の前身である。その並びにある如水会館は一ツ橋大学の前身があった場所である。九段下交差点のところに蕃書調書跡の石碑があるが、これは江戸幕府が1856年に開設した洋学研究機関であり、これを引き継ぐのが東京外国語学校である。
 神保町界隈には他にも専修学校(後の専修大学)、東京法学社(法政大学の前身)、明治大学の前身の明治法律学校、中央大学の前身の東京法学院などがあり、神保町界隈は大学発祥の街といえる。何故、大学の前身の学校がこの地に数多く開校されたのかについては、神田錦町は江戸時代から護持院ケ原という、防火のための火除けスペースがあったことも一つの要因と思われる。この地を発祥とする多くの大学の中で、本学は共立女子職業学校の開学以来、同じ地にいるのが、伝統ある女子大学と言われる所以である。
 しかし、本学は開学以来順風満帆であった訳ではない。今年は関東大震災100年周年になるが、大正12年9月1日午前11時58分に発生した地震は、建物の倒壊だけでなく火災をおこし、被害が拡大した。本学はそのころ共立女子職業学校として、2号館の地に開学以来の校舎があり、道をはさんだ3号館のところ(今川小路)に寄宿舎があった(図)。地震により建物の倒壊と火災が発生し、 74名の死者をだし、東京の諸学校のなかで最大の被害であったと言われている。
 当時の鳩山春子校長以下の努力で授業再開、校舎建設の復興は早かった。昭和3年(1928年)の共立女子専門学校の発足と、昭和10年(1935年)の共立女子学園の発足、昭和11年(1936年)共立高等女学校の設置を経て学園は昭和初期に急速に拡大した。

図 共立女子学園 神田一ツ橋キャンパス  図の1号館の地を獲得し、昭和11年(1936年)に共立高等女学校の新校舎が竣工した。昭和13年(1938年)には共立講堂(図)が竣工した。日本橋川の雉子橋河畔の1号館と隣接する共立講堂は、首都東京の一大偉観と言われ、共立講堂は様々なイベントに使われ、共立の名を高めることとなった。
 学園の創立発起人でもあり、昭和初期まで学園を牽引した鳩山春子校長が共立講堂落成の日の朝に倒れた。子息の鳩山一郎の妻、鳩山薫が校長となり、戦中、戦後の混乱期を耐え、また戦災を免れたため、戦後の学園の発展に寄与した(鳩山薫は鳩山春子の子息後の内閣総理大臣鳩山一郎の妻である)。昭和19年(1944年)には、共立女子専門学校に育児、保健、被服の三科を置き、戦後の家政学部の元となった。
 戦後、学校教育法に基づく再編により、昭和22年(1947年)に共立女子中学校、昭和23年に共立女子高等学校を開設した。昭和24年(1949年)には、新制大学として共立女子大学家政学部(生活学科と被服学科)が発足し、戦後の新しい女子高等教育がスタートした。
 昭和25年(1950年)には短期大学部(家政科)を発足させ、更に昭和28年文科第一部、第二部を設置し、戦後の高度成長期と18歳人口の増加による女子教育の需要の高まりに応じて、収容定員を増やしていった。昭和48年(1973年)に共立女子短期大学と改称し、一時は大学より収容定員が多い時期もあったが、21世紀に入り、急速に短大の志願者数は減少し、二部の募集停止(平成19年(2007年))、定員の減少変更を経て、現在の二科(生活科学科、文科)収容定員400名となっているが、ここ数年定員維持ができなくなっている。
 一方、家政学部から始まった大学は、戦後の女子高等教育の流れにのって拡大を続けてきた。まず、総合大学化を目指した第一歩として、昭和28年(1953年)に全国初となる文芸学部を開設した。建学の精神である「女性の自立と自活」から、家政学部は実学による自活を、文芸学部は深い教養を身に付けて自立の精神の獲得を目指すものとした。令和5年度(2023年度)には文芸学部開設70周年記念事業がおこなわれる。昭和38年(1963年)に新築された3号館は本学の文系(文芸学部と短大文科)の校舎となった。さらに、昭和41年(1966年)には、本学で始めてとなる大学院研究科として文芸学研究科(修士課程)を設置した。大学院では昭和55年(1980年)には被服学専攻と食物学専攻からなる家政学研究科を開設した。
 収容定員増加に伴う神田キャンパスの狭隘化を受け、昭和45年(1970年)には新たに取得した八王子校地に共立第二高等学校を創設し、昭和54年(1979年)から大学2学部の教養課程の教育を八王子キャンパスでおこなうようになった。初年次教育を八王子キャンパスでおこなうことによる大学志願者の減少は一時的であった。昭和59年(1984年)には、第二中学校が設置された。昭和57年(1982年)には、戦前戦後の学園の発展を支えた鳩山薫学園長・理事長・学長・校長が93歳で死去した。昭和61年には創立100周年記念事業が八王子キャンパスで行われた。平成2年(1990年)には高等教育における国際化の流れを受けて、国際文化学部が開設し、4年次までの全教育課程を八王子キャンパスでおこなう、本学3番目の学部となった。平成6年(1994年)には、大学院の比較文化研究科(修士課程)と家政学研究科人間生活学専攻(博士後期課程)が増設された。 平成4年(1992年)に18歳人口の減少が始まったが、当面は大学進学率の上昇により大学進学者数の増加は継続した。八王子にもキャンパスのある本学では、神田集中化は急がれる課題であった。平成14年(2002年)の「首都圏既成市街地工場等規制法」の廃止に伴い、全教育課程を神田一ツ橋キャンパスで行うことが可能になった。それを受けて、神田一ツ橋キャンパスの本館(図)を建築し、神田集中化は平成19年(2007年)に完成し、全学部・科1年次から神田で教育を行うようにし、国際文化学部は国際学部として開設した。また、教養教育改革に着手し、大学・短大を横断する全学共通化をおこなった。
 前述のように2000年になってからの短大の志願者数の減少を受けて、平成16年(2004年)に短大の定員変更とともに、3年制の看護学科を設置した。さらに、大学家政学部に児童学科を設置し、本学創立時の建学の精神である「女性の自立と自活」の理念にそった施策であった。児童学科は地域の児童の受け入れ施設(はるにれ)を有し、地域に開かれた学科を目指している。なお、短大看護学科は平成25年(2013年)に本学4番目の学部として看護学部に昇格し、地域に根差した看護学部を目指している。
 

3.持続可能性のある女子大学を目指して

 平成4年(1992年)以降の18歳人口減少傾向に、大学進学率が上向きになり、保たれていた大学進学者数は平成30年(2018年)以降ついに減少局面に入った。その中で、絶え間ない自己点検評価と中長期計画の的確な実施を平成25年(2013年)からおこなっている。第二期中期計画(2018年~ 2023年)では、令和2年(2020年)からのビジネス学部の開設を目指した。都内の私立大学にとってインパクトが大きかったのは平成30年(2018年)から今後10年間、学部科の定員を増やせない23区規制である。その規制の直前の申請にてビジネス学部の開設が認められた。ビジネス学部は女子大学としては全国では初めてのことで、人文系に偏りのあった女子大学から一歩抜け出して実学系に向けた新しい方向であった。
 23区規制の中、戦後足し算方式にて規模の拡大をおこなってきた私立大学にとって今後は、スクラップアンドビルド方式にて中身を変えていく方向に転換するきっかけとなった。その方向として、2023年からは昨今の志願者の動向から、家政学部建築・デザイン学科を建築・デザイン学部として独立させた。家政系、工学系でない美術系の学部として日本で初めての学部である。第3期中期計画の初年度令和5年(2023年)度には、ビジネス学部の最初の卒業生が出る。

4.リーダーシップの共立を掲げて未来へ

 2023年は本学にとって2000年初期の短大の志願者減に続く脅威の年であった。2023年度になって恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学、上智大学短期大学部の募集停止、学習院女子大学の学習院大学への統合など、女子大学、短大への逆風がみられた。2023年4月には神戸親和女子大学と鹿児島純心女子大学がそれぞれ共学となった。
 本学では、短大だけでなく一部の学部の入学定員未充足が初めてみられた。更に、併設校からの入学者が減少し、いわゆる併設校スルーという現象もみられた。
 7月24日の朝日新聞では、1 ~ 2面に「減る女子大学問われる役割」と題して記事が組まれた。その内容は「1998年がピークの女子大学数は98校から73校に減少し、共学大と競いあうために、データ・建築・工学部開設 共学化も」としている。背景には4年制大学への女子の進学率の上昇、女性の社会進出の高まりがある。
 本学は既にビジネス系、建築系の学部を開設し、総合大学としての強みを発揮している。男女共学化については考えていない。女子総合大学として女子を教育する強みがあると考えている。そもそも明治期に本学の前身である共立女子職業学校ができた経緯には、当時の男女共学の大学では女子に対する教育が女子の望むようにできなかったからと思われる。共立女子職業学校は、男女師範学校の合併に反対した東京女子師範学校の関係者ら34人の発起人により設立され、「女性の自立と自活」を建学の精神とし、女子教育を開始した。今でも、男女共学では発揮できない女子教育が女子大学だからこそできると考えている。そのような教育に「リーダーシップ教育」がある。
 本学ではビジネス学部設立時に教育の根幹に「リーダーシップの共立」を掲げ、今は全学部・科にリーダーシップ教育をおこなっている。すなわち、ステイクホルダーにアピールする教育指針として「リーダーシップの共立」を掲げた。本学の言うリーダーシップとは、「自らを恃(たの)み「自立」し、「友愛」により他者と協働して目標達成を目指す力」と意味づけた。トップダウン型・支配型ではなく、他者との協働に根差した相互支援型の「リーダーシップ」である。前半は、建学の精神の「自立と自活」に基づき、後半は校訓である「誠実、勤勉、友愛」の「友愛」に基づいている。2023年からの第3期中期計画の大学・短期大学のビジョン2032は「誰もが「Major in Anything. Minor in Leadership.®」を実感できる大学・短期大学を目指す」としている。学部・科の専門的な知識・技能の活用とリーダーシップの発揮の2つの関係性を主専攻は様々な専門分野、副専攻はリーダーシップと表現した。
 「リーダーシップの共立」を掲げて、神田一ツ橋キャンパス ワンキャンパスの女子総合大学として「組織全体の教育力の底上げ」をおこなっていく所存である。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(『大学マネジメント』「特集 女子大、女子短大の『近未来』」 OCT 19(7):26-29 掲載)

新入生の皆さんを迎えるにあたって

「リーダーシップの共立」

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 皆さんが数ある大学・短期大学から、本学を選ばれたことに感謝します。本学を選ばれた理由となる特徴は、これからの皆さんの学びの源となります。ここで私が考える本学の特徴を3つ挙げたいと思います。
 第一は「リーダーシップの共立」です。これは、本学の全ての教育の要としてリーダーシップ教育を置くという教育の基本的な姿勢を示します。本学が開発・育成するリーダーシップを「共立リーダーシップ」と名づけ、『みずからを恃(たの)み「自立」し、「友愛」により他者と協働して目標達成を目指す力』と意味づけしました。ここでいうリーダーシップはトップダウン型ではなく、相互支援型のものです。前半は、建学の精神である「女性の自立と自活」によります。後半は、「誠実 勤勉 友愛」という本学の校訓に根差した言葉です。目標を明確に掲げ共有した上で、他者との相互支援関係を作ることで、目標達成に近づいていく能力です。皆さんが入学後に全学共通教育科目、専門科目の正課、正課外教育の中で培われていくものです。正課外活動としてサークル活動、委員会活動、社会連携活動なども共立リーダーシップの力をつける学びです。
 第二は、教職員と学生との距離が近い支援を教育モットーとしていることです。担任(アカデミック・アドバイザー)や助手制度によるきめ細かな学修支援を行います。大学・短大では、高校までの「・・を教わる」という受け身的な学習から、「・・を学ぶ」という自ら課題を見つけて学ぶ主体的な態度が求められますが、その学びを支援します。学生生活全般、進路に関することは学生支援課が支援を行います。大学・短大の4年あるいは2年は短いので、継続的な努力が必要です。そのために私たちは支援します。
 2023年度も新型コロナウイルス感染症は終息しません。しかし、改めて本学の強みである学生との距離の近い対面授業の大切さを確認し、授業は感染対策をおこなった上で、基本対面授業とし、大学が教育上、効果があると認めた一部の科目については、「オンデマンド型」のオンライン授業をおこないます。
 第三の本学の特徴は、環境にあります。本学の前身である共立女子職業学校設立の1886年以来、都心の一等地であるこの地で発展をとげてきました。通学やアルバイトの利便性ばかりでなく、大学からの徒歩圏に知的好奇心を満たす神保町古書店街、秋葉原電気街、皇居、東京国立近代美術館、国立公文書館などがあります。論語の言葉に「これを知る者はこれを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず」という言葉がありますが、本学は皆さんが好奇心を持って楽しく学べる環境です。
 これら3つの特徴で皆さんをお迎えします。皆さんが楽しく学べることを祈念します。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(2023年版「春から共立必読サイト」掲載)

2022年度

令和4年度在学生家族懇談会挨拶

本学の教育方針

 学長の川久保です、皆さんおはようございます。
 本日は、大変お暑い中、在学生家族懇談会にお越しいただき、誠にありがとうございます。本懇談会は、共立での学生生活の理解を深めて頂くために、平成の時代から毎年開催しているものですが、コロナ禍のため、このように対面で開催できるのは令和元年以来3年振りとなります。
 本日は、900組、約1200名の参加が見込まれ、多数の方々にご来場いただき誠にありがとうございます。久しぶりに多数の保護者の方々のご来場をまのあたりにして、学長、ならびに教職員一同感謝の気持ちで一杯でございます。予想以上の人数になり受付等の混雑によりご迷惑をおかけしたことを最初にお詫び申し上げます。本日は共立講堂で家族懇談会を開催できることに免じて混雑をおゆるしください。
 この共立講堂は昭和13年に落成し、当時2500人(今の定員は1769席)を収容できる大講堂として多くの人に使われてきた、本学のシンボル的な建物です。戦前は三国同盟の決起集会、戦後は1948年(昭和23年)第1回のど自慢全国大会、1950年(昭和25年)湯川秀樹博士ノーベル賞受賞式から帰国後講演会などに使われました。残念ながら昭和31年に焼失しましたが、昭和32年に再建され、その当時このようなホールは数少なく、フォークの殿堂として、吉田拓郎など多くのコンサートが開催された共立講堂です。
 さて、これから学長として本学の教育方針を3つ述べたいと思います。まず、1つ目は本学ではマスク着用など基本的な感染症対策はおこないつつ対面での授業を原則としておこなっていることです。もちろん今後のコロナの状況によっては、オンラインの授業に移行する準備はできております。kyoritsuDX推進プランとして、本学のデジタル環境は飛躍的に進みました。コロナの禍を転じて福となした一つの例です。
 2つ目は建学の精神です。
 本学の教育は明治19年共立女子職業学校設立時の建学の精神「女性の自立と自活」にのっとって行ってきました。これを「実学とリーダーシップ」、Major in Anything, Minor in Leadership 主専攻は様々な専門分野、副専攻はリーダーシップとし、教育の理念としています。
 私達が考えるリーダーシップとは、「目標を明確に掲げ、共有した上で、率先して行動し、他者との相互支援関係を作ることで目標達成に近づいていく能力」を意味しています。リーダーと言うポジションを意味するのではなく、だれでも身に付けることができる能力と考えています。他者を強力に引っ張っていく「支配型リーダーシップではなく、「相互支援型シーダーシップ」とされ、共立リーダーシップと呼んでいます。校訓の「誠実・勤勉・友愛」の友愛につながります。
 リーダーシップ教育は各学部・科それぞれ取り組んで、学生の皆さんが全員リーダーシップ能力を獲得できるようになる工夫があります。共立リーダーシップは、正課の中だけで獲得できるものではありません。サークル活動、地域連携活動などを通じても養われていきます。本学は大学院4研究科、大学5学部、短大2科、学生数約5500人の女子総合大学です。総合大学のメリットを活かした様々な正課外活動を推奨しています。
 高等教育の考えかたは変わってきました。学生に何を教えるかではなく、学生自ら何を学んだかが問われるようになってきました。学生は自ら学習成果を蓄積し、学習成果を自分で説明できるようになることを目指し、学生それぞれが獲得したリーダーシップを説明できるようになります。
 3つ目は学生の自律を支援する手厚いサポート体制です。学生には担任(アカデミック・アドバイザー)が配置され、個別に支援をおこないます。5月病といわれるように、5月の連休の終わったあとのこの時期に入学後の学習意欲が低下し、授業欠席なども多くなることがあります。本学では、出席管理システムにより、出席率低値者を抽出し、この時期には入学時に引き続き担任が個別に面談し学習状況を把握するようにしています。保護者の方々は是非お子様に、「担任は誰ですか」と聞いてみてください。答えられるはずです。
 手厚いサポートにはキャリア支援も含まれます。皆さんは将来の就職の支援はどのようにしてくれるのかと、心配も多いと思います。進学、就職、留学を含めキャリサポートの体制はととのっています。個別相談コーナーにお立ち寄りください。
 授業見学会が、6月13日より1週間開かれます。大学でも授業参観をやるのと意外に思われるかも知れません。これは、私たち教員の教育の質の向上のためにおこなうものです。ほとんどすべての授業の見学ができるようになっております。みなさん方のお子さんの授業の様子を見るだけでなく、本学の教育システムをごらんいただくいい機会だと思いますので、ぜひご参加ください。
 最後に学長からのお願いですが、「フューチャーズ募金」についてご紹介させていただきます。私立大学は皆様方からの支援なくてはたちいきません。フューチャーズ募金は本学の教育の更なる充実と発展のため、任意でお願いしている募金制度です。この募金は「奨学資金」や「教育研究振興資金」に活用させていただく募金となっています。詳しくは、本館ロビーの資料コーナーにパンフレットを置いておりますので、ぜひお目通しくださいますと幸いです。皆様のご支援、ご協力を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
 私たち大学の教職員と保護者の方々と一緒になって、学習支援をおこなっていきたいと思います。以上、挨拶を終わりにします。
 本日はどうもありがとうございました。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(令和4年5月29日在学生家族懇談会挨拶)

新入生の皆さんを迎えるにあたって

好奇心と楽しさ

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 皆さんが数ある大学・短期大学から、本学を選ばれたことに感謝します。本学を選ばれた理由となる特徴は、これからの皆さんの学びの源です。ここで本学の特徴を3つ挙げたいと思います。
 第一は、女子教育の要としてリーダーシップ教育を掲げていることです。本学の建学の精神は、「女性の自立と自活」です。女性の活躍推進の社会的要請のもとに、リーダーシップを発揮して社会を支え社会を動かしていく人材を養成します。本学の考えるリーダーシップは、リーダーというポジションのことでも、権限を持った人による命令の出し方という意味でもありません。どのようなポジションにあろうと「目標を明確に掲げ共有した上で、率先して行動し、他者との相互支援関係を作ることで、目標達成に近づいていく」能力を「リーダーシップ」と捉えています。どんな事態に直面しても、自分を見失わず、他人の痛みを理解し、自ら主体的に動きながら他者や周囲を励まし支援できること、謙虚さ、誠実さ、思いやり。 他者への気遣いのあるリーダーシップが必要と考えています。
 第二は、教職員と学生との距離が近い支援を教育モットーとしていることです。担任(アカデミックアドバイザー)や助手制度によるきめ細かな学修支援・学生支援を行います。大学・短大では、高校までの「・・を教わる」という受け身的な学習から、「・・を学ぶ」という自ら課題を見つけて学ぶ主体的な態度が求められます。大学・短大の4年あるいは2年は短いものです。継続的な努力が必要です。そのために私たちは支援します。
 2022年度も新型コロナウイルス感染症の脅威から逃れることはできません。しかし、改めて本学の強みである学生との距離の近い対面授業の大切さを確認し、授業方法は感染対策をおこなった上で基本対面授業とし、大学が教育上効果があると認めた一部の科目については、「オンデマンド型」のオンライン授業をおこないます。感染状況が悪化した場合には、オンラインと対面のどちらかを選択するハイフレックス型授業に移行します。皆さんの学びの過程を最大限支援する体制がありますので、安心して学生生活に臨んで下さい。
 第三の本学の特徴は、総合大学であることを活かした正課外活動を重視していることです。サークル活動、委員会活動、社会連携活動などの正課外活動も皆さんにとっては大切な学びです。その時には、総合大学のメリットが生かされ、多種多様な考えを持つ友達や教員と交わることができます。それらのことは皆さんが新たな価値を創造し、社会を生きぬくキャリア形成につながります。
 論語の言葉に「これを知る者はこれを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず」という言葉がありますが、昨年、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋氏は、研究の継続に好奇心と楽しみが必要とコメントされていました。
 皆さんが好奇心を持って楽しく学べることを祈念しております。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(【2022年度】「#春から共立必読サイト」掲載)


2021年度

新入生の皆さんを迎えるにあたって 楽しく学ぶ

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 皆さんが数ある大学・短期大学から、本学を選ばれたことに感謝します。本学を選ばれた理由となる特徴は、これからの皆さんの学びの源です。ここで本学の特徴を4つ挙げたいと思います。
 第一は女子大学・女子短期大学であることです。女子大学・女子短期大学のいい点は何でしょうか。本学の建学の精神は、「女性の自立と自活」です。女性の活躍推進の社会的要請のもとに、リーダーシップを発揮して社会を支え社会を動かしていく人材を養成します。ここでのリーダーシップは、成果目標を共有し、自ら主体的に動き、周囲や他者を支援するものを言います。女子大学・女子短期大学だからこそできることです。
 第二は、教職員と学生との距離が近い支援を教育モットーとしていることです。
 大学・短大では、高校までの「・・を教わる」という受け身的な学習から、「・・を学ぶ」という自ら課題を見つけて学ぶ主体的な態度が求められます。大学・短大の4年あるいは2年は短いものです。継続的な努力が必要です。そのために私たちは支援します。
 また、皆さんが入学される2021年度は、授業実施の方針に大きな変化が2つあります。
 一つは、従来の1回、90分15回の授業を、100分14回に変え、皆さんが余裕を持って学べるようにしたことです。高校までは1回、50分の授業が多いので、100分授業にはとまどうかも知れませんが、心配いりません。先生方は、主体的に学べる工夫をした授業設計で準備をしています。
 二つ目は、授業の実施方法についてです。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、オンデマンド型授業を中心におこなってきました。しかし、改めて本学の強みである学生との距離の近い対面授業の大切さを確認し、授業方法は基本、対面授業とすることを決めました。しかし、大学が教育上、効果があると認めた一部の科目については、「オンデマンド型」のオンライン授業をおこないます。そのためにも皆さんには「Kyoritsu Myパソコン」の準備をお願いする次第です。皆さんの学びの過程を最大限支援する体制がありますので、安心して学生生活に臨んで下さい。
 第三の本学の特徴は、総合大学であることを活かした正課外活動を重視していることです。サークル活動、委員会活動、社会連携活動などの正課外活動も皆さんにとっては大切な学びです。その時には、総合大学のメリットが生かされ、多種多様な考えを持つ友達や教員と交わることができます。それらのことは皆さんが新たな価値を創造し、社会を生きぬくキャリア形成につながります。
 第四の特徴は、北に神田神保町、南に皇居を望むアクセスの良いロケーションにあります。知的好奇心を持つことは学ぶことの基本です。論語の言葉に「これを知る者はこれを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず」という言葉があります。知的好奇心を満たすことで、学ぶことを楽しむことができるようになります。知的好奇心をもって界隈を探索してみてください。
 皆さんが楽しく学べることを祈念しております。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(【2021年度】「入学のしおり」掲載)


2020年度

SDGsへの取り組み  2020年度を迎えるにあたって

 戦後、家政学部から新制大学として再出発した本学では、環境問題に関する関心が高く、2011年度から「環境学習への取組」がホームページに公開されています。近年、環境問題は国連によって「持続可能な開発目標SDGs」に包括され取りあげられて国際的に注目されています。そこで、2020年度を迎えるにあたり、本学でもSDGsの取組を教育・研究で行うことを推進することを学長メッセージとして学生や教職員に伝えたいと思います。
 持続可能な開発目標SDGsは、2015年に193の国連加盟国によって、新たな持続可能な開発アジェンダとして正式に採択されました。アジェンダは17の目標と169のターゲットからなり、2016年に始まり、2030年12月31日までに達成される予定です。
 前身の2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)は、発展途上国向けの開発目標でしたが、SDGsは先進国を含めたすべての国の開発目標であり(普遍性)、環境保護だけでなく経済成長、社会的包摂を核とするものです(統合性)。誰一人取り残さない(包摂性)をキーワードに、全てのステークホルダーが役割を担い(参画型)、定期的にフォローアップを行う(透明性)とされています。
 SDGsには法的拘束力はありませんが、述べられている通リすべてのステークホルダーが参画することが期待されます。各国政府が国の施策としておこなうばかりでなく、企業、地方自治体や市民がそれぞれSDGsの推進をおこなうことが求められます。
 SDGsの推進には、次世代・女性のエンパワーメント(自信と力をつけること)が重要とされ、大学の役割が期待されています。大学としてSDGsに貢献できることは、教育において現在および将来においてSDGsを実行する人材の育成をすること、研究において学際的研究をおこなうことで、女子総合大学である本学は、女性のエンパワーメント、つまりSDGsにおいて自分で考え、自分で選択していく力をつけ行動できるよう育成していくことに責任を負っています。
 しかし、SDGsと言われてもピンとこない人が多いかも知れません。そこで、既に大学でおこなっていることで、SDGsと深く関連することを洗い出し、学生や教職員に周知して、SDGsそのものの認知を高めることが第一歩になります。
 さらに、2020年度大学・短期大学「地域連携プロジェクト」の募集要項では、SDGsの目標のいずれかに合致する活動であることを求めました。本学では「環境学習への取組」をおこなってきた下地があり、これは無理なことではないと思います。
 SDGsは、皆さんの身近にあることを知り、すべての学生、教職員がSDGsについての理解を高め、意識して行動することを提案したいと思います。

2020年1月25日
共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清


2019年度

女子大学初となるビジネス学部ビジネス学科の設置

 2019(令和元)年9月6日付で、来年4月に開設するビジネス学部の認可がおりました。東京23区内の大学等定員管理の厳格化の中ではありますが、本学が一つひとつ、適切に準備を進めてきたことが評価され、特例として定員純増による新学部が認められました。ご尽力頂いた多くの皆様に感謝申し上げます。
 1886(明治19)年の共立女子職業学校を創始とし、133年の伝統を有する本学は大学4学部・短期大学2学科の文理両領域を兼ね備えた女子総合大学として発展してきました。そして令和の時代になり来春、新しい学部として、ビジネス学部がスタートします。
 このビジネス学部は、日本の女子大学初の学部であるという意味で高い先進性を有すると同時に、本学の建学の精神「女性の自立と自活」を体現する学部であるという意味で、本学の伝統を色濃く受け継ぐ学部でもあります。
 新学部の人材養成目的は「ビジネスの場で活用できる知識・技能と必要な教養を身に付け、他者と協働してリーダーシップを発揮できる人材を養成する。」ことです。これを受け、ビジネス学部の教育は、主要4分野(経営、マーケティング、経済、会計)を段階的に学ぶとともに、それらの知見を活用する課題解決型学修の「リーダーシップ開発プログラム」を並行して配置しており、相互に適切な影響を与える仕組みにしています。また、東京駅・丸の内・大手町を徒歩圏とする本学の立地は、産業界との連携によりビジネスの最先端を体感することが可能で、ビジネス社会で活躍するための実践力を修得できる最適の学びの場です。教員組織は、最新の知見に基づき、学生の熱意や向上心に効果的な刺激を与える教育を実践することはもちろん、学生が不安や悩みを抱える場合でも、担任教員による全学生対象の面談を定期的に実施し、安心して学修を進めるように支援します。この他、得手不得手に配慮した補習プログラム、上級生によるサポートシステム、高い専任教員比率など、全学生が成長実感を得ることに責任を持つシステムを形成しています。
 私は、本学の原点回帰を象徴する学部でもあるビジネス学部の有する実質を重視した教育体制が、他学部の教育にも好影響を与えるものと確信しています。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(【2020年4月開設】共立女子大学ビジネス学部 設置認可に寄せて 学長からのメッセージ)

在学生家族懇談会 挨拶

 学長の川久保です、一言挨拶させていただきます
 本日は、大変お暑い中、在学生家族懇談会にお越しいただき、誠にありがとうございます。
 本懇談会は、共立での学生生活の理解を深めていただくために、毎年開催しているもので、10回目を超えますが、新しい年号の令和になっての初めての家族懇談会となります。
 令和の令は、命令や指令の令ではなく、令夫人、令嬢に使われる美しいという意味の令です。本学では三つの校訓の誠実・勤勉・友愛を教育の柱としておりますが、令和の令は誠実・勤勉に通じ、令和の和は友愛に通じ、本学の校訓にあった元号と思っております。
 さて、本日ご参加の方は、今年度新入生のご父兄の方が多いのではと思います。みなさんのお子さんは新入生としてどのように学修しているのか、将来の就職の支援はどのようにしてくれるのかと、心配ごとも多いと思います。家族懇談会は、そのような心配事に対応できるように開いているものです。
 本学での教育の取り組みは学生と教職員と距離の短いきめ細かい支援をモットーとしておこなっております。学生にはアカデミックアドバイザーが配置され、個別に支援をおこないます。5月病といわれるように、5月の連休の終わったあとのこの時期に入学後の学修意欲が低下し、授業欠席なども多くなることがあります。本学で、出席管理システムにより、出席率低値者を抽出し、この時期に担任が個別に面談し学修状況を把握するようにしています。
 また、今年度から保護者の方には保護者アカウントを配布し、保護者の方々もご自分のお子様の出席状況を把握できるシステムを導入しました。
 私たち大学の教職員と保護者の方々と一緒になって、学修支援をおこなっていきたいと思います。
 高等教育の考えかたは変わってきました。学生に何を教えるかではなく、学生自ら何を学んだかが問われるようになってきました。今年度から学修管理システムである共立ネットワークシステムkyonetのリニューアル運用も始まりました。学生は自ら学修成果を蓄積し、学修成果の見える化をおこなうことができます。
 就職に関してはみなさんも関心がおありだと思います。就職支援については低学年から将来イメージを抱く必要性があります。本学ではキャリア教育を導入して手厚く就職支援をおこなっています。このあと就職進路課から説明があります。また講演では、働き方は変化しているというタイトルでサッポロビールホールディングス様にご講演いただきますので聞いていただければと思います。
 学修環境に関しては、本学の130周年記念事業として3年前に建設された新2号館を学生の学修支援施設(ラーニングコモンズ)と位置付け、従来の図書館のイメージを一新した学修環境となっております。見学会でごらんいただければと思います。
 また、授業見学会が、6月17日より1週間開かれます。大学でも授業参観やるのと意外に思われるかも知れません。これは、私たち教員の教育の質の向上のためにおこなうものです。ほとんどすべての授業の見学ができるようになっております。みなさん方のお子さんの授業の様子を見るだけでなく、本学の教育システムをごらんいただくいい機会だと思いますので、ぜひご参加ください。当日、おすすめの講義をお示しして、自由にごらんいただけるようになっております。私たち教員は保護者の方々に授業を見学していただけることで成長していくものと思っております。よろしくお願いします。
 以上、挨拶を終わりにします。
 本日は大変暑いので、水分補給はこの共立水を飲みながら、ご参加ください。本日はどうもありがとうございました。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(2019年度「大学・短期大学在学生家族懇談会」挨拶)

新入生の皆さんを迎えるにあたって

「面白がることから始まる」
 新入生の皆さん、ご入学をおめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 皆さんが数ある大学・短期大学から、本学を選ばれたことに感謝します。
 本学を選ばれた理由は、これからの皆さんの学びの源です。皆さんが入学に際してイメージした本学の特徴は何でしょうか?本学の第一の特徴は、女子大学・短期大学である点です。女性の活躍推進の社会的要請のもと、本学では建学の精神である「女性の自立と自活」を基に、社会に広く貢献できる自立した女性を育成することを人材養成目的としています。他者と協働し、リーダーシップを発揮できる人材養成を目指しています。
 大学・短大では、今までの「・・を教わる」から「・・を学ぶ」という姿勢が求められます。すなわち、様々な側面から物事を思考して、課題を発見して主体的に学ぶことです。そのために、全力で努力することです。その過程を、私たち教職員は最大限支援します。

 2018年度のノーベル医学生理学賞を受賞した本庶先生は、その受賞会見で、時代を変える研究には6つのC(Curiosity好奇心、Courage勇気、Challenge挑戦、Confidence確信、Concentration集中、Continuation継続)が必要と言っていました。それを私なりに大学、短大での学びにあてはめてみました。まず、様々な問題を自ら見つけて、考えるには、その問題について面白がること(好奇心、Curiosityを持つこと)が第一歩です。私はこれを知的好奇心と言っていますが、何でもまず面白がって、調べることが始まります。その時には挑戦(Challenge)的に課題を発見する気持ちが大事です。例えば、本庶先生は、教科書に書いていることを信じない事と言われています。
 そのあとは、学びを集中力(Concentration)をもって継続(Continuation)しないと一時的なことで終わってしまい、課題解決に至りません。私自身の過去を振り返れば、知的好奇心は旺盛だったのに、継続がなくて、得るところが少なかったと反省です。最終的には確信(Confidence)に至る経過が必要です。このような経過を続けるには勇気(Courage)がいります。
 勇気は、外からも与えられます。皆さんが入学された新しい年号の年には、ラグビーワールドカップが、1年後2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。私は、このようなスポーツの価値は人々に様々な「勇気」を与えてくれることにあると思います。本学の前の白山通りはマラソンのコースになることが決まっています。それを間近に見ることで、私たちは感動を受け、学ぶことが勇気づけられると思います。
 皆さんが楽しく学びを継続できることを祈念しております。  

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(2019年度「入学のしおり」掲載)

「平成最後の手帳」

 このCampus Guideには、共立にて学生生活を送る上で必要な情報が満載されています。
 予定表の年号として、平成が使われるのは4月までで、5月以降は新しい年号となります。皆さんは、平成時代をどのように総括されるでしょうか?平成30年を表す漢字として、「災、変、嘘、乱、暑」などがあげられますが、平成時代もそのような漢字であらわされる時代でした。天災が毎年のようにあり、テロリズムが多発し、地球温暖化は止まらず、大手企業のコンプライアンス違反が相次ぎ、空飛ぶ自動車の実用化実験がおこなわれ、本当に変化が激しい時代でした。新しい年号の時代は、楽しい夢のある時代であればと願います。
 次の新年号の時代が終わるころまでに、どのように世界が変化するのか考えてみたいと思います。この手帳には、メモ帳もついています。日ごろ、思うことを記録していく使い方もあります。時代の変化を認識するには、今をしっかり認識することも必要です。そのために使うのもいいです。
 学生生活案内では、様々な情報が記載されています。本学が美術館・博物館キャンパスメンバーズになっていて、竹橋の国立近代美術館の常設展には教職員が無料で入場できることが書かれています。京橋にある国立映画アーカイブは、旧国立近代美術館フィルムセンターで、映画好きにはたまらない所です。
 学校感染症対策の項目は、改変されています。はしかや風疹などの感染症にかかったら、家庭で安静にして、学校に来ることを避けてほしいということを強調しています。
 このように毎年同じような項目でも、よくみると改変されています。みつけてみてください。
 皆さんが工夫して、この手帳を愛用して頂ければ嬉しく思います。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(2019年度「Campus Guide」掲載)


2018年度

小さな総合大学

 本学は明治19年創立であり、建学の精神である「女性の自立と自活」を引き継いで教育を行ってきました。現在は4学部(家政学部、文芸学部、国際学部、看護学部)、2学科(生活科学科、文科)を擁する小さな総合大学です。小さな総合大学の利点は、教員との距離が近く、きめ細かな学修指導ができること、理科系の学部と文化系の学部が両方あって、様々な考えを持つ学生と接することができることです。創立130周年を経て、共立女子大学・共立女子短期大学ビジョン(①自律と努力、②創造とキャリア、③協働とリーダーシップ)が提案され、これを実現する教育をおこなってまいります。本学の教育の特徴は、正課外活動の評価、地域貢献・国際交流の重視、就業力を高めるキャリア支援、などがあげられます。特に協働とリーダーシップは、大きな教育の目標となります。小さな総合大学だからこそ、他者との協働力やコミュニケーション能力を身につけることができます。
 本学のもう一つの大きな特徴は地の利にあります。世界有数の本屋街である神保町に位置して、その気になればすぐに知的好奇心を満たすことのできる環境にあります。また、近くには皇居、北の丸公園など散策に適したロケーションです。知的好奇心をもち、興味あることを積極的に知ることは、自立の支えになる筈です。

2020年1月25日
共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清