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更新日:2024年11月04日

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【学長ブログ】第4回「本屋さんの新しい風」

本屋さんの新しい風

今回は本屋さんの新しい風について話をします。ITが発達し、本はどこでも簡単にnet上で買えるようになるとともにデジタル書籍で本に触れなくても読めるようになり、その傾向がどんどん進んでいます。そのような状況の中、新刊を中心とした本屋さんは確実に減っています。昔はみなさんのまちに1件はあった本屋さんが閉店しているのではないでしょうか。実際、出版科学研究所の調べによると1999年には全国で2万店以上あったのが2020年には約1万店にまで減っているそうです。なんとこの20年でほぼ半分になってしまいました。それは現在も続いています。しかし、本は当然読むという行為が本来なので、問題ないと思う人も多いかもしれませんが、私は本は「出会い」だと思います。本屋さんで必要な本を探していると、それ以外の本に興味が湧く瞬間があり思わず手に取り買ってしまうことがあります。まさに「出会い」です。本屋さんが減少する中、多様な本に出会える本屋さんの新しい風が吹き始めています。

みなさんは小さな独立書店がブームになっているのはご存じですか。「シェア型」あるいは「棚貸し」と呼ばれている書店です。店内の書棚を区画ごとに貸し出すシステムです。例えば30cm角の本棚を一箱とし1オーナーが一箱借りることができ、自分の名前や屋号を掲げオーナーの好む本を置き販売できます。個性豊かな箱が並び新たな学びと出会いが生まれます。吉祥寺にあるブックマンションが「シェア型」「棚貸し」書店の先駆けだそうです。70人のオーナーが常時いて、X(旧Twitter)などを通じて、お店を知り足を運んでくれる方が多いそうです。

本のまち「神保町」にも2店舗あります。

一つ目は今年4月に「さくら通り」にオープンした「ほんまる」です。「ほんまる」という店名、本屋の本丸という意味でしょうか、とても響きが良いです。この書店をつくったのは、直木賞作家の今村翔吾さんだそうです。地下1階、地上1階の2層約30坪に約360箱があり箱主は、一般の人から作家、俳優、企業、自治体等様々な方で個性豊かでその数だけ出会いがあると思います。そして直截的でとてもわかりやすいけど気になるロゴデザイン、店舗デザインはなんとクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんだそうです。さすがだなと思います。

 

二つ目は2022年3月に「すずらん通り」にオープンした「PASSAGE by ALL REVIEWS」です。この書店のプロデュースは仏文学者・鹿島茂さんだそうです。その後4店舗に増え箱の数は約1000箱を超えています。1号店は入り口の狭さからは想像できないくらい奥行きが深く両側と奥に天井まで届く書架が並ぶ以外は、中央に机があるだけのすっきりとした空間です。木と白いアーチを基調とし、天井には1930年代アンティークのシャンデリアがありシンプルでありながら落ち着いたパリの邸宅を思わせるようなインテリアです。書架にはパリのラシーヌ通り、ヴィクトル・ユゴー大通りの名前がつけられ、箱には番地がついています。とてもおしゃれです。

 

ぜひ神保町を訪れ本屋さんの新しい風を体感してください。きっと良い出会いがあると思います。

 


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建築・デザイン学部開設記念「まちの雰囲気を継承する建物探訪―神田周辺」をもとに刊行されました
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